【みんなのヘルスケアQ&A】ファミリーメディカルプラクティス（FMP）｜飲料不可の水道水でうがいや入浴をすることは、身体に悪い影響があるでしょうか？

日本では蛇口からそのまま飲める水が出ますが、ベトナムでは事情が違います。浄水場の整備は年々進展していて、硬度や重金属類、有機物などの処理基準が設けられているものの、急激な都市化により十分に追いついているとはいえません。さらに地域や住居の配水環境によっては、老朽化した配管や貯水タンクの影響を受け、錆や異物が混じることもあります。そのため、大腸菌などの細菌や微量の鉛などの重金属が残る可能性があります。細菌は煮沸である程度減らせますが、重金属類は加熱しても除去できないため、飲み水としては適していません。飲料や調理に使う際は、浄水器を通した水やボトル水を選ぶのが基本です。
では、入浴やシャワーはどうでしょうか。多くの在住者が日常的に水道水を利用しており、健康上大きな問題はほとんど報告されていません。ただし水の硬度や残留塩素の影響で、肌の乾燥やかゆみ、髪のきしみを感じる人もいます。そのような場合は塩素を軽減できる浄水シャワーヘッドを使うと安心です。
注意が必要なのは、口に入ったり傷口に触れたりする場合です。うがいや歯磨きに水道水をそのまま使う方もいますが、口の中に有害物質や病原体が入り込む可能性は少なからずあります。特に小さなお子さんは、うがいの最中に思わず飲み込んでしまうこともあるため、ボトル水や浄水器を通した水を使うと安心できます。傷口の洗浄など、さらに確実性を求める場合には、医療機関や薬局で安価に購入できる生理食塩水を使用するのも良い方法です。
まとめると、ベトナムの水道水は洗濯や入浴などの生活用水としては問題ありませんが、飲み水やうがい、歯磨き、傷口の洗浄に使う場合は「浄水器を通した水」か「ボトル水」を選ぶのが安全です。水の用途を上手に使い分けることが、ベトナムで安心して暮らすための欠かせない習慣です。