バクニン省における廃棄物発電プロジェクトは日本の環境省のJCM設備補助事業に採択されています。またベトナム天然資源環境省(MONRE) の支援、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)からの融資もいただいております。IFCの融資を受けるには、施設運営における安全の確保、環境保護へのモニタリング、近隣社会への貢献・配慮、労働環境の整備など、厳しい基準を遵守し続けることが求められます。
ベトナムでは固形廃棄物の約63%が埋め立て処分されており、そのうちの半量近くが衛生的に処理されていません。埋立処理された生ごみから出るメタンガスの温暖化への影響はCO2の約25倍といわれています。またベトナムでは石炭火力による発電が多いのも現状です。弊社ではごみを燃やした廃熱で作った蒸気でタービンを回して発電し、工場の自家消費の余分を送電線につないでベトナム電力公社に売電しています。焼却処理を行うことでメタンの発生を抑制しつつ、化石燃料を使用しない発電をすることで、15年間で約60万tの温室効果ガス(GHG)の排出削減が見込まれます。
ベトナムには簡易焼却の焼却炉もありますが、基準となるベトナムの法規を遵守していない施設もなかにはあり、大気汚染が大きな問題となっています。弊社ではベトナムの基準値を約8割下回る、日本・欧米基準の厳しい排ガス処理基準を守りながら操業しています。当然高い技術力、安定した操業をするためのノウハウが必要であり、設計と排ガス処理の設備には日本のJFEエンジニアリングの技術、炉はドイツのスタンダードケッセル・バウムガルテ社製の500t炉を採用しています。
他国でも廃棄物発電プラントの建設は行っていますが、海外でアセットを保有し運営まで手掛けるのは今回が初めての試みです。許認可の速度、人材の育成には苦労しました。操業する上でキーマンとなる5人のメンバーには昨年、横浜の廃棄物発電プラントにて2か月間の研修を行いました。水分を多く含む一般廃棄物と、プラスチックが多く温度が上がりやすい産業廃棄物を混焼するにあたり重要な知識と技術、コンプライアンス、安定操業するためには何が重要なのかを学びました。
適正な処理をしたい、本社から適正処理を求められている、という外資系、特に日系・韓国系の企業様が中心です。
焼却処理できない廃棄物も一緒に回収して欲しい、というご要望がある場合は、一度トゥアンタイン社ですべて回収し、リサイクル品や不燃物を取り除いた後に可燃物のみをT&Jで処理するという契約が可能です。企業様には運搬や分別のご負担はありません。また、処理方法の確認のための工場監査・見学など日本語でも対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
今年1月には自治体からの都市ごみの受け入れを開始し、産業固形廃棄物との混焼を始めています。現在は調整段階ではありますが、3月下旬には本格稼働を予定しており、本格稼働後には日量500t処理、年間約1億 kWhの発電が見込まれています。
自治体からの一般廃棄物も受け入れるので、当たり前のことですが、安定操業をし、地域とベトナムの電力不足の解消に寄与することが大前提だと考えています。今後も年間10%ずつごみが増加すると予想されるなか、将来的にはバクニン省をロールモデルに、第2、第3の施設をベトナムで展開したいと考えております。その為には、次の工場で活躍できる人材育成の場としても重要な役割を担っていきたいと考えております。
お問い合わせ
会社名 | T&J Green Energy Co., Ltd |
電話番号 | 0976-958-806(日本語) |
メールアドレス | contact@tjgreenenergy.com(日本語・英語・ベトナム語可) |
ホームページ | https://www.tjgreenenergy.com/ |
住所 | Cuu Yen Village, Ngu Thai Commune, Thuan Thanh District, Bac Ninh province, Vietnam |
ベトナムでは2024年1月より、増加し続ける廃棄物の排出抑制を図ることを目的に、拡大生産者責任(EPR)制度の運用が始まり、対象となる事業者においては、ごみの再生利用促進や金銭的負担が義務付けられるようになりました。
そうなれば、廃棄物処理も業者選定が肝心。ベトナム北部バクニン省には安心安全な廃棄物処理・廃棄物発電事業を行っている日本出資の会社があり、廃棄物発電所の所長を務める石川氏に具体的な取り組みについて伺いました。