ISO9001/14001が2026年に改訂予定! ~ベトナムのISO対応と準備のポイント~

ISO9001とISO14001が2026年に改訂予定です。ベトナムでISOを取得している、またはこれから取得を検討している企業にとって、今回の改訂への対応は非常に重要です。
品質と環境マネジメントの最新動向をいち早くキャッチし、余裕を持ったスケジュールで改訂に臨むことが重要です。
本記事では、ISO改訂の背景から予想される改訂の具体的な内容までをお伝えしていきます。

規格の改訂とは?

規格改訂とは、国際標準化機構(ISO)が制定した国際規格を、時代の変化や技術の進歩、社会のニーズに合わせて規格の内容を見直し更新することです。

ISOは国際規格ですので、スイスのジュネーブに本部のある国際標準化機構により定期的に会議が実施され、定められた基準の見直しが行われています。

現在のISO9001・ISO14001の最新版は、どちらも2015年に発行されています。ISOは一般的に5~10年で見直しが行われます。今回の改訂は、この定期的な見直しの一環として行われるもので、規格がより現代のニーズに合致し、使いやすいものになることが期待されています。

また、この規格改訂は、認証を取得している組織だけでなく、これからベトナムで取得を検討している組織にとっても重要な情報です。改訂の内容を理解し、早めに準備を進めることで、スムーズな移行とより効果的なマネジメントシステムの構築につながります。

規格訂の背景

以下のような背景を受け、ISO9001・14001の規格改訂が進められています。

ISO9001
  1. ビジネス環境の変化
    グローバル化やデジタル化の進展により、品質管理の方法や考え方が変化しています。これに対応するため、規格の見直しが必要とされています。
  2. 持続可能性への関心の高まり
    環境問題や社会的責任が企業活動において重要視される中、品質管理においても環境への配慮や社会的責任の視点を取り込むことが求められています
  3. ユーザーからのフィードバック
    2015年版の運用を通じて得られたユーザーの意見や課題が、改訂の重要な材料となっています。
ISO14001
  1. 気候変動や生物多様性の喪失など、環境問題の深刻化
    これらの環境問題は相互に関連し合い、その影響はますます深刻化しています。企業は、これらの問題に対して責任ある行動を取り、環境負荷の低減や持続可能な資源の利用を推進することが求められています。
  2. 国際的な規制や目標(例: パリ協定、SDGs)への対応
    パリ協定の目標達成に向けた企業の排出量削減の取り組みや、SDGsの環境関連目標への貢献などが、より重視される可能性があります。
  3. サプライチェーン全体での環境影響の管理の必要性
    企業の環境影響は、自社の事業活動だけでなく、原材料の調達から製品の製造、流通、廃棄に至るサプライチェーン全体に及ぶため、サプライチェーン全体での環境管理の重要性が高まっています。

規格改訂の時期について

現在、国際的な専門家や関係者が集まり、改訂内容の検討が進められています。
正式な発表はまだされていませんが、2026年内には改訂されるだろうと予想されています。
改訂案のドラフトが公開される可能性もあるため、早めの情報収集が重要です。

参照:ISO 9001(品質マネジメントシステム-要求事項)改訂状況

いつまでに対応が必要か?

新しい規格が発表された後、通常は3年間の移行期間が設けられます。そのため、2029年までに新規格への移行を完了する必要があります。
ベトナムにおいても、この移行期間は同様に適用されると考えます。ただし、移行期間中も審査や運用に影響が出る可能性があるため、早めに準備をするといいでしょう。

改訂前の事前準備

規格改訂に備えて、事前に準備しておいた方がいいことがあります。

(1)スリム化

マニュアルの内容を再検討し、不要な記載や重複部分を削除することで、より簡潔で実務に即した運用ができるようになります。
特に、ISOを10年以上運用している企業では、長年の運用や審査を通じて改善を重ねてきた結果、現在の業務にそぐわないルールや、形骸化した規定が残っているケースが少なくありません。
2026年の規格改訂に備え、今のマニュアルや規定をスリムにしておくことで、改訂時には必要な要件をスムーズに追加・修正できるようになります。これにより、改訂対応の負担を軽減し、効率的な移行が可能となります。

(2)マニュアルの統合

ISO9001とISO14001をそれぞれのマニュアルで運用している場合、統合マニュアルを作成しておくと効率的です。
これにより、重複する記載を削減し、運用の一貫性を高めることができます。
改訂が行われる前に、統合マニュアルの作成をしていきましょう。

(3)規格項番順に並び替え

新しい規格に対応するためには、既存のマニュアルや手順書を規格の項番に合わせて整理することが重要です。
これにより、改訂後の運用や審査時の確認がスムーズになります。ベトナムの事業所においても、同様の対応が求められます。

自社でこれらの作業に手が回らない場合は、ベトナムでのISO改訂支援経験を持つ専門のコンサルタントに依頼することでムリなく・ムダなく移行作業を行うことができます。
スリーエーコンサルティングでは、マニュアルの統合作業やスリム化の各業種ごとの事例が豊富にありますので、「自社の場合だと、どうすれば良いだろう?」といった悩みを解決することができます。

改訂の具体的な内容について

現時点では、改訂内容の詳細は明らかになっていませんが、以下のようなポイントが議論されると予想されています。

■ISO9001

・「附属書SL‐MSSのための調和させる構造」の改訂
・グローバルに関連するビジネスと社会の変化
・リスク及び機会の要求事項に関する改善
・文書化した情報に関する要求事項の見直し
・サプライチェーンに関する課題
・可監査性(auditability)を考慮した改善
・デジタル技術やデータ管理の重要性を反映
・持続可能性やESG(環境・社会・ガバナンス)への対応
・リスクベースのアプローチのさらなる強化
・気候変動への対応(カーボンニュートラル、脱炭素化)

■ISO14001

・気候変動への対応強化:温室効果ガスの削減やカーボンニュートラルの推進。
・生物多様性の保全:自然資源の持続可能な利用や生態系への配慮。
・サプライチェーン全体の環境管理:取引先やパートナー企業を含めた環境影響の管理。
・デジタル技術の活用:環境データの収集・分析におけるデジタルツールの導入。

まとめ

2026年の規格改訂に向けて、ベトナムでISOの取得を及び、取得を検討している企業は、早めに情報収集を行い、改訂内容を正確に把握することが重要です。

改訂を契機に、品質・環境管理体制を見直し、より効率的で持続可能な運用を目指すことが求められます。

しかしながら、自社内での文書のスリム化や改訂作業は、手間や時間がかかることが多く、特に長年運用している企業では複雑化しているケースも少なくありません。
こうした負担を軽減するためには、ベトナムでのISO改訂支援経験を持つ専門のコンサルタントに相談し、煩雑な記録修正や文書整備を任せるのも有効な方法です。
これにより、企業は本来注力すべき環境活動や業務に集中しながら、スムーズに改訂対応を進めることが可能になります。

企業情報およびサービス内容

企業名 3A CONSULTING COMPANY LIMITED
事業内容 ISO認証取得・運用代行サポート
代表者 LUONG THI THANH HUYEN
資本金 VND 300,404,000
電話番号 +84-857-904-239(ZALO・電話)(日本語・ベトナム語)
お問い合わせ
メールアドレス
yen@3a-c.com(イエン|(日本語・ベトナム語)
住所 9F, VIT Tower, 519 Kim Ma St., Ngoc Khanh Ward, Ba Dinh Dist., Ha Noi
ウェブサイト https://3ac.vn/

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