本記事は、ベトナムやベトナム人に起こる出来事を多彩に切り取り、解説するコーナーです。
約2年半に渡るコロナ感染拡大対策による各種の規制や制限による社会・経済活動でベトナムの旅行・観光業界、飲食業界などは隠忍自重を強いられてきた。しかしここへ来てコロナ感染者、死者の最悪の事態は回避されつつとの認識から、社会・経済活動の復活に向けた動きがベトナムを含めた東南アジア活発化している。
ベトナムの航空業界は今年第2四半期にこれまでに経験したことのない、最も強い回復を果たすことが予想され、ベトナム株式市場では航空産業関連株が買われ、急騰していると地元紙が伝えている。
旧正月には、ホーチミンシティやハノイの空港は帰省客や観光客で溢れかえり、航空便も多くの乗客を運んだ。この時を契機に観光・旅行業界は上げ潮基調に乗り、本格的な復活への自信と期待を抱いたといえるだろう。
またこの数カ月で会議や展示会などのツアーが大幅に増加しているとの報告もある。現地の旅行会社によると、2月中に150グループの約2,000人が会議や展示会などのイベントに参加、3月には220グループの11,000人が集まり、フーコック島、ロンハイ、ブンタウ、ファンティエット、ダラットなどの観光地も訪問してベトナムの名勝地を堪能したという。
つまり会議や展示会などのツアーはホテル、レストラン、観光地といった周辺の業界へも好ましい影響を波及効果として与え、ベトナムのコロナ渦からの復活に大きな弾みを与える結果となっているというのだ。都市部だけでなく地方の観光地などにも再び人々が集い、賑わう日も近いことだろう。
大塚智彦(フリーランス)
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞ジャカルタ支局長などを経て2016年からフリーに。月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などに東洋アジア情勢を執筆。
※本コラムは、筆者の個人的見解を示すものであり、週刊ベッターの公式見解を反映しているものではありません。