今年ベトナムで15周年を迎えるシステムエグゼが、『MotionBoard』『i-Reporter』を標準搭載した在ベトナム日系企業向け生産管理システム『EXEX生産管理』のバージョンアップ版『EXEX生産管理for Global』をリリース。市場の変化やニーズを受けて協働で同システムをバージョンアップし続ける3社の海外責任者はベトナムの製造業に何を見出だし、どのような課題感を持っているのだろうか。
Contents
「i-Reporter」とは?
「i-Reporter」は、製造現場などで使用している紙やExcelの帳票を、従来のレイアウトを活かしたまま電子化できる現場帳票システムです。現場で帳票に入力したデータは、サーバー上で一元管理し、リアルタイムでの確認や承認が可能です。紙の帳票からの移行だけでなく、Excelで作成した帳票の活用にも対応しており、写真・音声・バーコードなどの情報も記録できます。
入力されたデータは検索しやすく、通知やワークフローを設定できるほか、Excel・CSV・PDF形式の報告書を自動出力することも可能です。また、基幹システムやデータベース、その他の外部システムと連携し、帳票データの自動出力や、外部データの帳票への自動反映、Web APIを利用したデータ連携にも対応しています。こうした機能により、ペーパーレス化だけでなく、業務効率の向上、データ共有の円滑化、セキュリティの確保、現場状況の「見える化」を実現します。
Furukawa Automotive Parts(Vietnam)Inc.(FAPV)とは?
1996年、ホーチミン市に古河電気工業株式会社のグループ子会社として設立。古河電工グループが強みとする素材技術を活かし、主力事業として自動車用ワイヤーハーネスを生産。コネクタや自動車用電線材料など、ワイヤーハーネス製造に必要な各種素材をグループ内で調達・社内製造することにより、素材から最終製品まで一貫して製造できる体制を構築している点が強みです。
基本理念「地球にやさしく、人間性を尊重し、安全・安心な製品を通じて、お客様に喜びと感動を与え続ける会社であること」を軸に、日々の生産活動に取り組んでいます。
製造現場では、生産実績や検査記録、工程内不良の数値、設備・材料の変化点など、日々多くの情報が記録されている。しかし、その記録が紙の帳票で管理されている場合、必要な資料を探す手間や保管スペースの確保、集計作業の負担、現場状況の把握にタイムラグが生じるといった課題が起こりやすい。
現場の記録、データ収集のデジタル化ツール「i-Reporter」は、現在利用しているExcelフォームから入力UIを設計できる「現場電子帳票」である。今まで使っていた紙のレイアウトをそのまま踏襲することができ、現場にも違和感なく導入しやすい点が強みだ。さらに、現場で入力した帳票データはサーバーで一元管理され、リアルタイムで確認・承認できる。
今回紹介するのは、Furukawa Automotive Parts(Vietnam)Inc.(以下、FAPV)におけるi-Reporter導入の取り組みだ。紙の帳票が定着していた製造現場で、どのようにデジタル化を進め、現場の意識改革につなげたのか。現場担当者のTran Thi My Linh氏と石居氏に、i-Reporter導入成功の3つの鍵と、導入後に生まれた変化を聞いた。
紙文化が残る製造現場に訪れたデータ化のきっかけ
Linh氏:FAPVは、企業理念の一つである「地球にやさしい会社」の実現に向け、紙資料の削減に取り組んできました。しかし製造現場では、必要な書類をその場で迅速に確認できると、紙ベースの記録管理が長年定着していました。加えて、資料ごとに様式が異なる既存の紙資料をデータ化するには、入力画面の設計や開発に過度の負担が生じるのではないかとの懸念もあり、本格的なデータ化には着手できていない状況が続いていました。
そうしたなかで、2023年に古河電工グループDX推進部からの紹介をきっかけに、i-Reporterの導入検討を開始し、翌年10月から運用を開始するに至りました。
紙帳票からデータへの移行を検討するにあたり重視したポイントは、以下の3点でした。
1. 既存の帳票のフォーマットが活用でき、移行の負担が少ないこと
2. ミニマムスタートで無理なく始められること
3. 一般事務レベルの簡単なPC操作で使えるソフトウェアであること
i-Reporter導入を決めた理由はいくつかありますが、既存の帳票のフォーマットをそのままデータ化でき、これまで使用していた紙の資料と同じ感覚でパソコン上での入力・管理が可能になる点には特に魅力を感じました。
導入前の説明段階では、現場の作業スタッフからPC入力等に対する戸惑いの声もありましたが、現場ファーストの姿勢で丁寧に準備を進めることによって、現場の不安は解消されました。
i-Reporter導入成功の鍵①:親会社DX推進部による現場に寄り添った支援
Linh氏:日本の古河電気工業株式会社のDX推進部の方がベトナムの工場へ来訪され、現場の業務を直接確認しながら、どのようなDXが作業者の負担軽減や業務改善につながるのかを、現地スタッフと一緒に検討してくださいました。i-Reporter導入に際しても、帳票を実際に作成しながら操作方法を直接指導していただいたことで、具体的な活用イメージや効果を実感しながら、自信を持って導入を進めることができました。
石居氏:ベトナムの工場でしか使用していない帳票もあるので、初めて挑戦する部分もありましたが、日本側ですでにi-Reporterを導入しているので、その効果や必要性を現場スタッフに具体的且つ効果的に説明できたと感じています。

i-Reporter導入成功の鍵②:現地言語での密なコミュニケーション
SystemEXE Thanh氏:SystemEXEは、ベトナムにおけるi-Reporterの販売代理店として、導入支援からサーバー環境の構築まで、一貫したサポートを提供しています。管理者向けにはi-Reporterの導入目的、使用方法、注意点などについての説明会を、現場作業者向けにはi-Reporterの使用手順に関する説明会を実施しました。FAPVでの導入にあたっても、弊社のベトナム人スタッフが、FAPVの現場スタッフの皆様にベトナム語で直接説明・指導し、理解度と安心感を高められるようにしました。
Linh氏:i-Reporterは、何か現場で分からないことがあっても、マニュアルを見れば解決できるユーザーフレンドリーな設計にはなっていますが、現場の作業者が円滑に運用できるよう、トラブル発生時の対応方法やIT部門への連絡方法についても充分に情報共有しています。
またトライアルライセンスを活用し実際に使用してみることで、入力作業が想像以上に簡単であることや、紙の管理・保管の手間がなくなることを、現場のスタッフ全員が自ら実感できたことは、本格運用へスムーズに移行する上で大きなプラスになりました。
i-Reporter導入成功の鍵③:現地スタッフへの権限委譲
石居氏:海外拠点でのシステム導入では、「日本人が主導しすぎると、日本人がいなくなった後に現場に定着しない」という失敗が起こりがちです。そこで本プロジェクトでは、現地のナショナルスタッフを中心とした改善専門チームを立ち上げ、現地主導で進める体制を構築しました。帳票作成については、既存の帳票や業務フローを最も理解している現地スタッフ自身が中心となり、製造部門やシステム担当と協議しながら帳票定義を作成しています。日本側は手を動かすのではなく、あくまでサポート役に徹することで、現地にノウハウが残る進め方を重視しました。
また、最初から大規模展開するのではなく、一帳票ずつ小さく始めるアジャイルな改善プロセスを採用しています。週単位で改善を進め、定期的に私がレビューを行いながら、「ここはこうしたほうがよい」といったアドバイスを行う、伴走型の支援を実施しました。
こうした取り組みの中では、失敗を許容する文化づくりも大切にしています。「まずは提案してやってみる。うまくいかなければ次を考える」という姿勢を共有し、現地スタッフとの信頼関係を築きながら、継続的な改善を進めています。
現場に寄り添った運用設計とサポートで円滑な定着を実現
石居氏:単なる「紙の置き換え」ではなく、「現場にとって本当に必要な情報は何か」を見極めることから取り組みを始めました。電子化のタイミングを好機と捉え、既存帳票の棚卸しを実施しました。約50種類あった帳票を見直し、重複しているものや不要なものを整理した結果、約30種類まで削減、約4割減することができました。また、既存システムから取得可能なデータは、ConMas Gatewayを活用して帳票上に自動で呼び出せるようにしたことにより、重要な目標のひとつであった入力工数の削減も実現できました。
現場作業者がストレスを感じないよう、入力負荷の軽減にも徹底しています。属人化しがちな文章入力は極力排除し、キーボード入力は数字のみ、その他の操作はマウス操作だけで完結する、シンプルで直感的なUIを設計しました。
また、帳票のレイアウト設計においては、視認性を高めることも重視しました。システムから自動で呼び出される項目、自動計算される項目、作業者が入力する項目を色分けして表示することで、どこに何を入力すればよいかが一目で明確に分かるよう工夫しています。
Linh氏:導入当初は「PC作業」と聞くだけで拒否反応があるような現場スタッフもいましたが、キーボード入力は数字のみに設定するなどの工夫が功を奏し、移行期間は約2か月といえども、実際は1週間程度で皆、操作に慣れたという印象でした。
生産日報と検査日報をi-Reporterで入力していますが、操作に不慣れなスタッフに対しては、各ラインに配置しているラインリーダー、班長がサポートを行うようにしました。また「記載内容の修正の仕方が難しい」など、導入初期に現場で浮上した小さな課題やリクエストはすぐにIT部門と共有し、より使いやすいシステムになるようブラッシュアップしていきました。
月当たり約1万枚の紙削減に成功!
ー誰がどこでどのようにi-Reporterを使っていますか?
Linh氏:現在、約300名の社員がi-Reporterを利用しており、5名のスタッフがシステムの管理・設定・プログラミングを担当しています。
製造現場では、ラインリーダーが日々の生産実績や工程内不良の数値を入力するだけでなく、4M、人・設備・材料・方法の変化点情報や、発生した問題点・課題についても日報としてi-Reporterに記録しています。
i-Reporterで入力されたデータはOracle Databaseに連携・蓄積され、そのデータを集計したうえでGrafanaを用いて可視化しています。製造現場には各班の作業状況を一目で把握できる大型ディスプレイが設置されており、そこにはGrafanaのダッシュボードが表示されています。
このダッシュボードは色や文言などの細かな画面設定を自由に編集することが可能です。画面設計を行う際には、現場のスタッフが直感的に理解できるよう、馴染みのある言葉を用い、分かりやすい表示を心がけました。
現場スタッフは大型ディスプレイを通じて日々の生産状況や課題を確認しつつ作業し、管理職もPCからいつでも生産実績を確認できるため、状況把握や課題のすり合わせが行いやすくなりました。その結果、現場からは多くの前向きな意見が寄せられています。
現場作業者の声



管理職の声




帳票データ化の成功体験の先に広がる期待と可能性
ー今後、貴社で取り組みたい改善や、挑戦したい活動等があれば是非教えてください。
Linh氏:今後は、帳票同士を横断的にリンクさせることで、さらなる入力工数の削減を図っていきたいと考えています。また、設備のPLCから情報を取得できるとも聞いているため、人によるデータ入力だけでなく設備からもデータを収集し、設備状態の「見える化」にも挑戦していきたいです。
Khanh氏:現在は前日の実績データをi-Reporterで表示していますが、将来的には設備から取得したデータをリアルタイムで表示・可視化し、管理者が常時監視できる仕組みを構築したいと考えています。
i-Reporterに実際に触れてみませんか?
・FACTORY NETWORK BUSINESS CONFERENCE (FBC ASEAN 2026)
・日時:9/16(水)~9/18(金)
・Vietnam Exhibition Center (VEC) Hall 5(H1-C78 ブース)
各社の基本情報
| 会社名 | 古河電気工業株式会社 |
|---|---|
| 代表者 | 森平英也 |
| 所在地 | 東京都千代田区大手町2丁目6番4号(常盤橋タワー) |
| 設立 | 1896年6月 |
| 事業内容 | 情報通信やエネルギーなどのインフラ分野、自動車部品分野、エレクトロニクス分野へ、多岐にわたる技術・製品・サービスを提供 |
| WEB | https://www.furukawaelectric.com/ |
2026年、シムトップス社主催「i-Reporter Partner Award 2026」の
「Global Excellence Award」を受賞!
| 会社名 | SystemEXE Vietnam Company Limited |
|---|---|
| 代表者 | General Director – Nguyen Thanh Thong |
| 所在地 | 2F, E-town1 Bldg, 364 Cong Hoa St., Tan Binh Ward, HCMC (ハノイ、ダナン、カントーに支店あり) |
| 設立 | 2010年10月 |
| 事業内容 | システムインテグレーションサービス、パッケージソフトウェアの開発・販売・導入支援、オフショア開発サービス |
| WEB | https://system-exe.com.vn/ja/ |
| 会社名 | 株式会社シムトップス |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役社長 奥畑 和行 |
| 所在地 | 東京都品川区上大崎2-25-2 新目黒東急ビル10階 |
| 設立 | 1991年10月1日 |
| 事業内容 | 主に製造業の現場向けパッケージソリューションの開発・販売 |
| WEB | 会社HP: https://cimtops.com/ 製品サイト: https://i-reporter.jp/ |













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