布巾のススメ【使い捨て】|ベトナムの「食」をフードアナリストちぇりが深堀り!|VIETNAMFoodLover(No.152)

台所や洗面台で使っているその布巾、本当に問題ありませんか?

日本も夏はベトナムに負けないほど暑いようですが、その暑さも一時的なもの。大半は快適、または雑菌が繁殖しづらい気温の時期が続くため、一年を通じて見ると常夏の国とは大きな違いがあります。衛生管理に関しても、心得ておくべきことに違いが生じます。今回は台所で活躍する「布巾」について。日本と同じような使い方をしていると危険が及ぶことがあるので知っておきましょう!

Vetter編集部
濡れ布巾は危険?
ちぇりさん
食事の前後にテーブルを拭く布製の濡れ布巾。これ、ベトナムのような常時暑い国では推奨しません。なぜなら、雑菌の繁殖スピードが早いから。
台所の布巾は、家の中にあるものの中でも最も雑菌が繁殖しやすいアイテムだとも言われています。雑菌繁殖に必要な水分、栄養分(調味料や食べ物の破片など)が付着しており、かつ、高湿度が保たれるという、雑菌にとっては天国のような環境が布巾の中では作られるから。
またその雑菌というのは、サルモネラ菌や大腸菌、黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオという、万が一にもそれが原因で食中毒になった時には、大変危険な部類の雑菌。
特にベトナムの環境下では、エアコンを入れていて涼しいという体感ではあっても、気温は28度前後。雑菌が繁殖しやすい温度が保たれています。
Vetter編集部
ちゃんと洗えば大丈夫?
ちぇりさん
では濡れ布巾を清潔に使う方法はあるのでしょうか。
流水で洗う、熱湯をかける、など思い浮かぶとは思いますが、実は塩素系漂白剤にしばらくつけ置きしても、雑菌を完全に除去することはできません。
しかもそこに残ったたった数個の雑菌が、数時間後には10-60倍、12時間では900-8,000倍に増殖。24時間も経つと数百万個という数字になることがある、と言われたらどうでしょう?
恐ろしい数に膨れ上がった雑菌が付いた布巾で何かを拭けば、きれいにするどころか逆に汚している。ということにもなりかねません。
Vetter編集部
干せば安心?
干せば安心のように思われがちですが、安全を確保するには、塩素系の漂白剤に長時間浸け、しっかり洗った後に固く絞ったものを広げて天日干しすること、とされています。しかし、それは夜にはできないということでもあり、現実問題、遂行するのは難しい。
また、乾かしただけでも安全とはいえないため、乾かした布巾に除菌スプレーを使うことも推奨されています。つまり、濡れ布巾を清潔に使うには、使用後漂白剤など殺菌効果が見込める方法で時間をかけて洗浄し、天日に干した後に除菌スプレーを使う、ということになりますが、これは現実的でしょうか。
Vetter編集部
ではどうすればいいですか?
ちぇりさん
そんな面倒なことは都度していられない、という方には、除菌スプレーと使い捨てのキッチンペーパーやキッチンタオルの併用をおすすめ。
これに対して「もったいない」「地球に優しくない」というご意見を見かけることがあるのですが、安全に活用することを前提とすると、布の場合は労力を必要とし、使い捨ての場合は資源の利用が必要。どちらにも何かしらの負荷がかかる話かと思います。
どちらを選ぶかは、その人次第。健康を守ることを絶対とするならば、何かしらのコストがかかる、ということかと思います。
ちぇりさん
使い捨ては、ペーパーかタオルか
では使い捨て方式を選択したとして、ペーパーでは強度がなくて頼りない、と思われる方には、不織布の使い捨てキッチンタオルをおすすめ。さまざまなサイズ、ボリュームの商品が各社から出ていますが、これは清掃用布巾として使えるだけでなく、繊維が落ちにくいので、食品に直接触れる使い方も可能で、例えば揚げ物の油きりや食品についた水気除去、水分の多い魚介類を含んだり、何かを濾してなめらかにする、何かを包んで力を入れてぎゅっと絞る、などの作業にも耐えられ、プロの現場でも重宝されています。布の布巾を使うように使え、使い捨てて惜しくないコストと質感。大変有用です。用途によってペーパータイプと使い分け、より経済的に活用するという方法もあります。
まとめ
何よりも優先すべきはご自身、そしてご家族の健康や安全。それを確保するためには何を選び、選んだものを正しく活用するにはどうしたらいいのか、という正しい知識を持った上で、自分の向き不向きを当てはめ、無理なく安全な生活を維持されてくださいね。

Writer: ちぇりさん|在住12年目。日本で1,500件、ホーチミン市内で3,000件以上を食べ歩き、現地の食材や調味料にも興味津々。食べるのも作るのも好きなフードアナリスト。
フードアナリストちぇりのホーチミンの美味いもん

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