物流産業は、生産から消費に至るあらゆる活動を伴う経済の根幹と言えます。チン・ディン・ズン副首相は、2025年までのベトナムの物流サービスの経済目標をGDP比5〜6%、成長率15%〜20%、アウトソーシング率50%〜60%、物流コストをGDPの16%〜20%と修正しました。
高い潜在能力を持つ経済分野のひとつ
物流は国民経済の全体構造の中で重要なサービス産業であり、国全体および各地域の社会経済発展を支え、結びつけ、促進する役割を果たし、経済競争力の向上に貢献しています。
1990年代以来、ベトナムの物流サービスは短期間に力強く発展し、ベトナム経済において特に重要な役割を果たしています。現在、ベトナムの物流市場には約3,000社の国内企業と、「DHL」「FedEx」「Maersk Logistics」「APL Logistics」などの大手企業を含む、国境を越えた物流サービスを提供する約30社の企業が参加しています。中小の物流企業では、そのうち89%がベトナム企業、10%が合弁企業、1%が外資企業です。現在、ベトナムの物流企業はフォワーディング、内陸輸送、港湾および空港の運営、倉庫保管、貨物管理、国際輸送などに焦点を当てて、2~17の異なる物流サービスを提供しています。ベトナム物流サービス業協会によると、近年のベトナムの物流産業の成長率は高く、約14%~16%に達し、その規模は年間約400億~420億ドルとなっています。物流サービスをアウトソーシングしている企業の割合は約60~70%で、GDPの約4~5%に貢献しています。
しかし、ベトナムの物流業界には依然として課題があります。ベトナム物流サービス事業協会によると、最大の制約はベトナムの物流コストが中国、タイ、日本、EUなどの国々と比較して依然としてかなり高いことです。その最大の理由は港湾インフラの問題であり、海港、内陸港、物流センター、倉庫、駐車場などの計画に課題があります。
コストの削減とサービスおよび競争力向上のために
2020年11月の「ベトナム物流フォーラム2020」では、コストの削減とサービス向上のために次のような提案がされました。
① 国境を越えた貿易手続きの簡素化
商品の輸送と流通のニーズを満たすために、同期的かつ最新のインフラストラクチャの構築への投資に重点を置く。
②デジタル変革を促進するためのプログラムとプロジェクト
EC関連の物流システム開発を中心に物流事業ネットワークを構築する。
③クリーンで環境に優しい物流システムの実現
温室効果ガス削減のための新しいソリューションを開発し、港や倉庫で再生可能な燃料源を最大限に活用する。
これに対し、政府の計画と支援という点では、大規模な国家物流センターの建設が必要であり、その際には税金、土地、埠頭(ふとう)の費用が優先される必要があると指摘されている。
ベトナムを東南アジア地域での重要な物流ハブに
2025年に向けてチン・ディン・ズン副首相は、15%~20%の成長率を到達させるために、ベトナム物流サービスの競争力向上とサービス開発のための行動計画を承認しました。この新たな決定により、計画を実施するためのロードマップも追加され、2045年を見据えたベトナム物流サービス開発戦略を研究および構築するための準備を開始します。
具体的には、物流サービスを付加価値をもたらすサービス産業に発展させることを提唱し、地理的利点を最大限に活用した立地戦略と接続性を強化してベトナムを東南アジア地域での重要な物流ハブにすることを目標とした物流サービス開発戦略の策定です。これを2025年から2035年に実行します。
自由貿易協定(FTA)から得られるビジネスチャンスを生かすには、船会社、商社、代理店などのさまざまな物流サービスを提供する企業が他国とのつながりを増やすための適切なチャネルを見つける必要があるでしょう。
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