ベトナムの機械産業は2030年までに3,000億ドルに達すると予測されています。機械工学業界には、今後も市場のニーズに応え、より強力な発展を促進するソリューションが必要とされ、国家的プロジェクトとして取り組まれています。
原材料の現地化に成功、エンジニアリングに課題
現在、人口1億人を擁するベトナムは若者を中心に、東南アジア有数の機械産業の中心地となる見通しを立てています。
特に一連の自由貿易協定(FTA)への署名への参加により、ベトナムの機械企業にはビジネス拡大と、技術が世界先端レベルに近づく機会がもたらされています。
商工省としては、南北の産業発展を支援するため、2つの技術センターの運営効率の強化と改善を継続しています。これら2つのセンターは、全国の多くの地域で機械産業企業を支援するための活動を行なっています。
さらに産業貿易省は、裾野産業が発展するためにエネルギー産業、精密機械産業、一部の機械製造業などの多くの産業を含む下流産業の強力な支援を継続しています。
以前は、企業は主に組立および製造用の原材料を輸入していましたが、機械工学業界は投資と研究開発に重点を置き、生産能力を向上させ、徐々に現地化率を向上させてきました。
現在ではあらゆる種類の金型、機械部品、電気ケーブル、プラスチック部品、工業用ゴムなどの機械部品を多くの企業が自給しています。特にバイクおよびバイク部品、家庭用機械や工具、車と自動車部品の3つのサブセクターに強みがあります。
また輸出における市場シェアも、以前はFDI企業のみでしたが、現在ではベトナムの大企業も部品、機械や設備を世界に輸出しています。
その一方で、国内の機械エンジニアリング業界を鑑みると、国内市場シェアについても、輸出についても企業の競争力は十分でなく、機械分野のコア技術を完全に習得していません。今後も生産能力の向上に努める必要があります。
2035年までの機械工学産業の目標設定と戦略
政府は、2035年までにベトナムの機械工学産業が果たすべき目標を設定しています。それは国際統合における公正な競争に参画するために、高度な技術、国際基準を満たす品質を備えた専門分野を中心に発展し、経済的かつ効率的なエネルギー利用して世界のバリューチェーンの需要を満たす製品を開発するという内容です。
目標達成のため2025年以降、産業プロジェクトの補助機器グループおよびEPCパッケージの設計と製造を習得できるコンサルティングおよび製造請負業者グループを多数形成します。また、この戦略では目標を達成するためのソリューションも提供しています。
① 国内の鉱物資源と先進技術、競争力を生かすため、機械産業向けの基礎材料の開発に注力する
② 選択されたサブセクターにおける技術を習得し、製造能力を向上させるため、国際約束に従って、国内生産品を保護するために制裁を発動する
③ 潜在力とブランドを備えた多国籍製造企業を魅力的なインセンティブで誘致し、重点的かつ重要な投資支援政策を実施する。最新の環境に優しい、付加価値の高い質の高いプロジェクトの方向で、中小企業、特に裾野産業分野の投資促進に注力する。
④ 国家による企業支援の政策には次のようなものがある。エネルギー使用を効率化/投入資源の改善/機械製品の生産性・品質・競争力の向上を目的とした生産設備の購入/先進技術と生産管理モデルの適用において製品の多様化と差別化/製品ブランドの構築と開発をサポート/開発プロセスを短縮するための研究開発/ブランド化されたグローバル企業の合併と買収のサポート
⑤ 国は機械訓練施設のアップグレードへの投資を優先し、承認されたプログラムやプロジェクトに従って優秀な人材を海外で訓練し実践させるための資金援助を行う。
⑥ 国は十分な市場能力を持つ機械装置メーカーに対する投資および運転資金の融資条件に対する信用金利のメカニズムを持つ
⑦ 国家管理機関と企業が共有するデータベースとして機能する機械産業情報システムを構築する
⑧ 機械工業界の分断と断片化を克服し、事業を結び付ける専門職団体の役割を推進、促進する