【2020年教育問題】ベトナムを含む海外での子育てに関する全貌をご紹介


2018年10月13日に外務省の担当者を講師に迎え、ジャカルタ・ジャパン・クラブ主催の教育セミナーが開催。「国内の教育事情と海外・帰国生への期待」というテーマで約1時間の講義が行われました。ベトナムを含む海外で子育てする日本人に大きく関係する当セミナーの全容を、インドネシア日本語週刊誌「ライフネシア」紙の協力を得て公開します。

◯ささやかれる2020年教育問題

現在の高校1年生が大学受験をする2020年に国立大学入試は大きく変化する。センター試験が廃止され「大学入学共通テスト(仮称)」となり、この対策に向けて入試傾向が徐々に変化しつつある。しかし「知識だけではなく思考力が問われ、記述式問題も増える」という方向性は確定してるものの、具体的な変更内容はまだ明示されていない。英語テストについては外部テスト(TOEICやTOEFLなど)を導入する動きがみられている。

◯2020年教育問題の提起理由

近い将来、日本が直面する問題である「人口減少」や「AIの労働市場参入」によって産業構造の変化が起こると言われている。2020年以降に大学進学、社会進出を控える子どもたちが、将来的にさまざまな変化に対応し、そして問題を解決していかねばならない。

そのために必要なのが人間力だと予測されている。その人間力を「クリエイティブな人」と結論づけ、創造力を身につけた人を育てる教育カリキュラムへシフトする。それが2020年教育問題の発端となりました。

◯創造力(クリエイティブ)のある人を育てる

誰かの指示を待つのではなく、自ら考え、自ら動き、自らアイデアを創りだしていける能動的な人が「創造力のある人間」と定義されている。子どもたちがこれから生きていく社会では必要となってくる「生きる力」のひとつがこの能力だと考えられている。
こういった創造力をつける教育プログラムのひとつが「国際バカロレア」や、日本の文科省が指定する「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」だ。急加速するグローバル社会に生じる課題に対応し、関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決能力など国際感覚を身につけ、国際的に活躍できるリーダー人材を高等学校段階から育成することを目的としている。

◯帰国子女の強みと対応策

すでに「国際バカロレア」や「SGH」といった学習カリキュラムは、インター校や欧米現地校でも行われている。日本でもこのカリキュラムを取り入れる認定校を増やしてる。国際バカロレア認定校は現在20校だが、平成30年までに200校まで増やす方針を文科省は打ち出している。
海外在住の子どもにとって、対策しておきたいのは「国語力(読み取る力・日本語力)」。

「国語力」があれば、社会や地理、歴史は本帰国してからも身につけられるため、根幹となる国語力を十分に伸ばしておくことが大切になる。一方、これからの教育(表1)に対して海外で過ごした体験は大きく優位に働くと思われる。異文化や異国の人とのふれあいは、多様な人間関係の形成能力を育てる。また異文化で対峙する問題を乗り越えることで、問題解決力が自ずと身につきやすい環境ともいえる。

海外生活を利点と捉え、日本で味わえない体験は人間性を豊かにする。本人も家族などまわりの人間もさまざまな経験をする。それは今後の受験や学生生活についても有利にはたらくことになる。

表1 これからの教育 □ 知育偏重から問題解決型教育へ
□ 知ることを学ぶ
□ 為すことを学ぶ
□ 共に生きることを学ぶ
□ 人間として生きる事を学ぶ
□ 社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力
□ 多様な社会グループにおける人間関係形成能力
□ 自律的に行動する力

 

(小学校・中学校)
新学習指導要領3本柱
具体的な教育内容
□ 知識および技能 □ 言語能力 □ 道徳
□ 思考力・判断力・表現力など □ 理数教育 □ 体験活動
□ 学びに向かう力、人間性など □ 伝統・文化 □ 外国語

 

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