【特別企画】「子どもをインター校に通わせている」駐妻座談会


母親の本音トーク! インター校のいいとこ、悪いとこ!

週刊ベッター400号記念のアンケート結果より、ベトナム在住邦人の子どもを持つ親に聞いたところ、「日本人学校に通わせている・通わせたい」59%、「インター校に通わせている・通わせたい」41%という結果が出ました。大半の方が「日本人学校」であろうという編集部予想に反して、インター校も4割以上を占めました。そこで現在ホーチミン在住で子どもをインター校に通わせるお母さんに集まってもらい、インター校の良いとこ悪いとこをざっくばらんに語ってもらいました。

Aさん ホーチミン在住歴8年。赴任時から子ども2名をインター校に通わせている。
Bさん ハノイ、シンガポールを経て現在ホーチミン在住。3人の子どもをインター校に通わせている。
Cさん ホーチミン在住3年で二人の子どもをインター校に通わせている。
Dさん AIS職員。二人の子どもはそれぞれ別のインター校に通わせている
Eさん 今春からホーチミンにやってきた。現在3歳の息子をインターに行かせるべきか思案中。今回その検討材料を得るために参加。

◯教育方針で選ぶならインター校に軍配!?

ベッター編集部(以下編) 本日はお集まり頂きましてありがとうございます。早速ですが、まずは簡単な自己紹介からお願いします。またホーチミンには多くのインター校があるのですが、なぜ現在の学校を選ばれたのかも教えて下さい。
まもなく丸8年の駐在になります。赴任以来、子ども二人を「カナディアンスクール」に通わせています。駐在が長くなりそうだったことや夫の意向でインターを選びました。当時カナディアン校は開校まもない時期で学費が安かったのも選んだ理由の一つです。

またイギリス式とかアメリカ式とか、特に希望もなく、とりあえず「カナディアン」に行ってみて、ダメなら日本人学校に転校すればいいと思っていました。そして試験を受けたのですが、低学年だったこともあって無事合格できました。

2区の「ホーチミン・インターナショナルスクール(ISHCMC)」に通わせています。その前はシンガポール、さらに前はハノイにいました。ハノイにいる頃からインター校に通わせています。

「ISHCMC」を選んだ理由は、直前のシンガポールのインター校が国籍に偏りのない学校で、ダブル国籍も合わせて約150ヶ国ほどの生徒がいて、ホーチミンでもそれに近い形態の学校を選びました。あとは「IB(インターナショナル・バカロレア/大学進学のための国際バカロレアの修了資格(成績証明書))」を発行してくれることも選んだ理由です。

ウチは「AIS(オーストラリアン・インターナショナル・スクール)」です。日本人学校はみんなと同じでないといけない。言葉は悪いですが、ちょっと軍隊っぽいところがあるような気がします。その点、インターは自分のやりたいことが学べるイメージが強いです。楽しめれば勉強が身につくし、教育という意味ではインター校の方が進んでいる気がします。
私は韓国人で今「AIS」で働いでいますが、子どもは別のインター校に通っています。高校3年の上の子は「KIS(Korean International School)」。下は「SSIS(Saigon South International School)」です。上の子も中学までは「SSIS」でしたが、将来、韓国の大学に入る予定なので「KIS」に転校しました。
Dさんは韓国の方ですが、他の3名の方は「日本人学校」の選択肢はなかったのですか?
「日本人学校」は高校がないので中学卒業後に帰国せねばなりません。やはり高校がないのはネックですね。あとはせっかく海外で生活するのだから、英語が話せるようになった方がいいし、何よりそこでしかできない体験をしてもらいたい。幸い「カナディアンスクール」も「IB」の認定校になりましたので転校することもなく通っています。
最初から「日本人学校」の選択肢はなかったです。夫もインターナショナルな環境で子育てしたい強い思いがありました。英語力を磨きながら、いろんな国籍の人と知り合える。そんな教育環境で育てること自体が、こっちに出てきた動機でもあります。でも選択肢にはなかったのですが、親として一応は「日本人学校」も見ておきたかったので、見学に行きました。
子どもの主体性を重視する教育方針は、未来志向的で魅力的に映るのですがいかかでしょうか?
はい、そう思います。日本はようやく英語学習とかサイエンスとかやり始めましたが、インター校は以前からロボティクスとかプログラミングとかも取り入れていました。
思考力を身につけ、将来社会に出た時に役立つリアルで実践的な教育が行われている気がします。
お金をどうやって稼ぐかといったマネタイズに関する授業もあります。例えば、学校でクッキーを売るとなった時に、どこで売ればいいか?場所はどこがいいか?時間帯は?といった要素を生徒たち自らが考えるといった内容です。子どもの頃にこういう経験ができることは大きいですね。
誕生日プレゼントにこれが欲しいってプレゼンされたことがあるのですが、それも学校で学んだことです。自分が思っていることや主張したいことはしっかり伝えるってことが重要だってことを教えられるんでしょうね。
授業内容の濃さに感心させられます。ところで日本の学校と同じような宿題やテストとかもあるのですか?
テストもありますし、宿題となる課題もあります。あとパフォーマンス練習も。いろいろですね。日本のようにプリントを何枚か渡されて、問題を解く感じではないです。
大学のレポートに近いですね。
授業と同様に自分でしっかり考えて、独自解答を提示するということですか?
はい、課題に対してゴールである結論を出すような感じです。そしてその答えに対して先生たちがコメントを出します。低学年の頃は「Well done」ばかりだったのが、高学年になると「根拠が薄い」とか「もう少し具体例を挙げてまとめた方が良い」とか辛辣な指摘を受けたりします。
ビジネスの予行演習みたいですね。
テーマに対してどうアプローチするかが重視されていて、日本の詰め込み学習とは一線を画すところかも知れません。

◯高学年になるにつれ英会話力が重要に!

インター校は授業も学校生活も基本は英語。実際のところ入学時にどの程度の英語力が必要なのでしょうか?
学校にもよるので一概には言えないのですが、低学年だと比較的合格しやすいと思います。ウチの長男は小学2年でこっちのインターに入ったのですが、自分の名前くらいしか書けなかったのに入学できました。
子どもと保護者の英語力という部分は、すべてのインター校がある一定の基準みたいなものを設けています。「ISHCMC」の場合は、まったく英語が話せない子どもは試験の申し込みの段階で不合格判定を下されるかも知れません。

ただ少しでも話せるのであれば、語学の中に「英語ビギナークラス」もあるのでそこで鍛えることも可能です。

子どもが中学2年の時にこっちに来たのですが、当時の駐在歴の長い方からもらったアドバイスは、インター校なら英検2級以上ないと厳しいって言われました。
学年によって全然変わると思います。幼児だと楽しく遊べて、意思表示ができれば学校側は受け入れてくれると思います。ところが上級生になると難しい。例えばクラスやグループで共同作業をしようってなった時に英語ができないとやっぱりキツイと思います。

◯インター校への不満は何よりも高額な学費!

ベトナムのみならずインター校の学費は高額だと聞きます。Bさんはハノイやシンガポールのインター校のこともご存知だと思われますが、いかがでしょうか?
物価面でもそうなんですが、シンガポールがアジアの中でダントツに高いです。もっともベトナムのインターも高いですけどね。毎年ちょっとずつ値上がりしてる気がします。
学校によって多少の違いはあるのですが、概ね高額ですね。新しい学校は比較的安い傾向にあります。おそらくこの先も値下がることはないのでは……。そういう意味では早く入学させた方がいいと思います。
入学してしまえば、授業料金はずっと同じなんですか?
いいえ、入学後も上がるのですが、入学金のこともありますし、早いに越したことはないと思います。最初に入ろうと思った一年後には10%値上げされたりしますから。
学校環境も大切ですが、学費をもう少し安くしてほしいものですね。
ホント高い。見返りの少ない高い投資ですよ(笑)下手すれば毎年新車が買えちゃいますからね(笑)
今しかできない投資だと思って仕方なくやってます。当人たちはあたり前のような顔してますが……。
だから時々言ってやるんです「お父さんが頑張っているから行けるんだからね。今の学校じゃなくてもいいんだよって(笑)」
「親の心、子知らず」ですね。
それは万国共通です(笑)
きっと親になってみないとわからないでしょう。
学費以外で、インター校の嫌なことや苦労、困ったことを教えて下さい。インター校職員のDさんを目の前にして話しづらいかも知れませんが(笑)
大丈夫です。今日は職員ではなく母親として来てますから(笑)
入学当初に親の面談があったんです。私自身がまったく英語を勉強してなかったので会話の内容を1/10くらいしか理解できませんでした。先生は容赦なく話されるし、本当に困りました。正直、最初の2年間は私自身もよくわかってなかったです。お子さんを日本人学校からインター校に転校させた友人がいるのですが、その方曰く「日本人学校のどこがいいかって、私が日本語を理解できることがいい」って(笑)。そうだよね〜って(笑)
インター校では親の英語力も重要なんですね。他に問題点は?
インター校を選んだがために一番困っているのは、漢字が書けないことです。中3・中1・小3、ウチは子ども全員漢字が苦手です。日本領事館から教科書をいただけるのですが、それを子どもに読ませようとするのですが、まったく手に取ろうともしません。
日本語学習が足りなくなるのは、インター校では避けられないことかも知れません。ではそれを補うための対策はされていますか?
小さい頃は日本から教材を取り寄せてやらせました。やる、やらないでいつも親子ゲンカしてました。飽きたら教材変更したり、ある時はユーチューブで学習したり、とにかく手を替え品を替えやらせようとしましたが、結局はどれも長くは続かなかったですね。
学校で日本語を使う機会もないのでしょうから興味を持てないのでしょうね。
そうですね。ウチの場合は卒業後も海外の学校を想定していることもあり、日本語に関しては悠長に構えています。でも将来日本の高校を目指している人は、真剣度合いも違っていて一生懸命勉強していますね。
途中でやめたのですが「公文式学習」や「教科書ぴったしドリル」という簡単なものを中三までやらせて、日本語にも親しみを持たせようとしていました。
ウチは入学時がすでに中2だったこともあって、特に日本語学習はしていないです。
最後になりますが、今後お子さんをインターに入れるか否か悩んでいらっしゃるEさんの方から質問はございますか?
ウチはまだ3歳になったばかりです。今年の春にこっちにやって来ました。来春から幼稚園に通わせようと思っているのですが、日系の幼稚園かインターかで悩んでいます。まだ小さいし、日本語もちゃんと話せません。インターだと戸惑ってしまうかも知れません。まずは日系の幼稚園の方がいいのかなと思っています。
3歳のお子さんをインターに入れた友人がいますが、はじめは無口になっちゃったみたいですが、半年ぐらいで慣れて簡単な英語を話し出したって言ってました。また幼稚園だとクリスマスなど父兄参加のイベント機会も多く大変なのですが、親も含めてだんだん環境に慣れるとは思うのですが……。
ウチの下の娘は日本語もまだこれからっていう2歳半の時にインター幼稚園に入れました。インターだという自覚もなかったと思います。やはり催し物が多く、ある日アート展というイベントがあって行ったんです。すると自由に描いた様々な絵があって、どれもが個性的でした。日本だと似たような絵が並んだりすると思うのですが、そこらへんが自由というかインター校の方針なんでしょうが、とても頼もしく感じました。
いろいろと勉強になりました。やはり実際に通われてる方の意見はとても参考になります。家で夫と相談したいと思います。ありがとうございました。

◯もっと知りたい! インター校 Q&A

Q,入学や編入時期は?
A,一般的に9月が学期始めになっている。編入には定員数が関係してくると思われるが、空きがあれば時期を問わず入学できることが多いです。
Q,飛び級や留年があるって本当?
A,成績いかんでは学年を上げたり下げたりすることができる。また小学生でも成績が芳しくない場合、留年を勧められるケースもあります。
Q,日本人スタッフはいる?
A,学校にもよるが、日本人スタッフ常駐となるとかなり限られる。イベントや問い合わせの際には、親も英語での会話が必要となります。
Q,いわゆる「不良」と呼ばれるような生徒もいるの?
A,学校によって差はあるが、ゼロではない。全生徒が品行方正というのはある意味不可能です。
Q,日本のように担任の先生はいるの?
A,10年生(中3or高1)ぐらいまでは担任の先生がつくことが多いです。
Q,いろんな人種の生徒がいるの?
A,学校によるが、ベトナムの場合ベトナム人や韓国人の生徒の割合が増えることが多い。各人種の割合に制限を設けている学校もあります。
Q,通学は基本的にスクールバス?
A,学校によってさまざま。自己責任のうえでバイクや自転車で通学する子どもも多いです。
Q,やっぱりイジメもあるの?
A,サイバーブーリング(ネット上のいじめ)は、世界各国のいろんな学校の社会問題であり、インター校も例外ではないです。
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