4/19 ISPH体験会|参加無料・学費50%OFF▶CLICK

在日ベトナムDX協会インタビュー|日越共創のDX最前線 在日ベトナムIT企業が示す、コストから価値への戦略的転換|調達&ビジネスガイドブック2026

ベトナムのIT産業は、単なる「安価なオフショア開発拠点」という枠組みを完全に脱却し、今や日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える戦略的パートナーへと進化を遂げています。2024年7月に発足した「一般社団法人在日ベトナムDX協会(VADX Japan)」は、その象徴的な存在です。
今回、同協会に所属し、日本市場で深く根を張って活動する主要5社の代表が集まり、ベトナム進出日系企業の経営者が知っておくべき「ベトナムITの現在地」と「共創の可能性」について伺いました。

日本市場への強いコミットメントと日本で挑戦する意義

編集部
まずは各社の自己紹介と、なぜ日本市場に特化して事業を展開されているのか、その背景を教えてください。
アン(Nal)
私たちNalグループは創業13年目で、現在550名のITプロ集団で日本に特化したDXソリューション、ソフトウェア開発を行っています。創業者4名全員が日本の大学を卒業し、日系企業での実務経験を経て起業しました。自分たちが持つ「日本というグラウンド」と「ITという武器」を掛け合わせ、日本とベトナムの架け橋になりたいという強い思いが根底にあります。
ファン(Kaopiz)
私たちも同様です。JICAのプロジェクトで日本式のIT標準と日本語を学んだメンバーで2014年に創業しました。現在は池袋を拠点に、日本のDX全般とイノベーションを支えるミッションを掲げています。
ホアン(Mirabo)
私は日本政府の奨学金で学び、日本のベンチャー企業で経験を積んだ後、2018年にMiraboを設立しました。単なる受託開発ではなく、AIやIoT、VRといった最先端技術で日本企業の課題を解決することに注力しています。現在、クライアントの9割以上が日本企業です。
岩崎(Gem Japan)
Gemは日本法人設立から6年になります。私たちはAIエージェントやローコード・ノーコード開発に特化しています。ベトナムの豊富なリソースを活用しつつ、日本国内のお客様の近くで上流工程から伴走することを大切にしています。
鈴木(M&m solution)
弊社は4年目ですが、IT開発に加え、日本でのマナー教育を含めた「人材紹介」も行っています。滋賀のパナソニック様など大手企業とも連携し、日本で活躍できるベトナム人エンジニアの育成と供給の両面でサポートしています。

リソース不足とレガシーの停滞という日越共通のDX課題

編集部
ベトナムに進出している日系企業、あるいは日本国内の企業がDXを推進する上で、どのような課題に直面していると感じますか?
岩崎(Gem Japan)
最大の課題は、やはり「リソース(人材)不足」です。DXを導入したくても、技術が分かり、かつ現場の業務をシステム化できる人材が社内にいない。システムを作って終わりではなく、運用できる人がいないことが、DXが停滞する大きな原因です。
ホアン(Mirabo)
人材に関しては、日本もベトナムも深刻です。日本は機会は多いが若いエンジニアが足りない。ベトナムは若手は多いが、実際にDXを社会実装した経験がまだ少ない。だからこそ、私たちは自社でエンジニアを日本基準で教育し、日本での実績を積ませることに心血を注いでいます。
ファン(Kaopiz)
私は「レガシーシステムによる停滞」を強く感じます。30〜40年前の古いシステムが稼働し続けていて、それを刷新できないことがイノベーションを阻んでいる。私たちは最新のAIツールを活用したリプレイス(最新化)を得意としていますが、こうした「守りのIT」から「攻めのIT」への切り替えに苦戦している経営層は多いですね。
アン(Nal)
同感です。最近は特に「予算はあっても、適切なパートナーが見つからない」という相談が増えています。日本の大手ベンダーはレガシー保守で手一杯。そこで、柔軟性とスピード感のあるベトナム系IT企業への期待が高まっていると感じます。

認識のズレを未然に防ぐ「共創の作法」による日本品質の追求

編集部
日本企業の「要件定義における認識の相違」や「高い品質要求」に対し、ベトナム企業として具体的にどのような工夫をされていますか?
ファン(Kaopiz)
認識のズレを解消する唯一の手段は「早期の可視化」です。私たちは要件定義の段階で、テキストの仕様書だけでなく、AIを使って画面の「モックアップ(試作品)」を先に作ってしまいます。実際に動くものを見ることで、お客様も「あ、ここはこうしたい」という具体的なイメージが湧き、完成イメージの食い違いを最小限に抑えられます。
アン(Nal)
私たちは「標準化」と「現場介入」を重視しています。ベテランの日本人エンジニアや日本経験の長いITプロ集団がお客様の現場に入り込み、言葉になっていない潜在的なニーズまで汲み取ってチェックリスト化する。この「寄り添う力」で期待値の乖離を埋めなければ、高品質は担保できません。
ホアン(Mirabo)
結局のところ「信頼関係」に尽きます。日本とベトナムは「礼儀」や「恩義」を大切にする文化が非常に似ています。最初は徹底的にヒアリングし、認識が分かれそうな課題も正直に話し合う。一度信頼を得られれば、単なるベンダーではなく「親友(パートナー)」として、一つのゴールに向かって一緒に壁を乗り越えていけます。
鈴木(M&m solution)
製造現場の事例ですが、200人で行っていた目視検査をAIカメラに置き換える提案をしました。人件費削減だけでなく、品質の安定という「日本企業が最も重視する価値」を正確に捉えて提供することで、現場の納得感を得ることができました。

AIエージェントと最先端技術を活用したコストから価値への転換

編集部
昨今のトレンドであるAIや最新技術の活用について、ベトナム企業の強みをどう活かしていますか?
岩崎(Gem Japan)
私たちは「AIエージェント」の導入を推進しています。人の代わりにワークフローを自動で判断し、進める仕組みです。例えば、社内の稟議システムにAIを組み込むことで、過去のデータから承認の可否を判断したり、差し戻しの理由をチャットボットが解説したりする。これにより、人手不足を根本から解決する提案を行っています。
ファン(Kaopiz)
ベトナム人エンジニアの強みは「ハングリー精神」と「新しい技術を恐れない姿勢」です。AIのような進化の早い技術を、自分たちのキャリアアップと直結させて楽しんで学んでいる。このワクワクするようなスピード感が、プロジェクトの推進力になります。
鈴木(M&m solution)
ローコード開発も強力な武器です。0から作るのではなく、プラットフォームを活用することで納期を短縮し、コストを抑えつつ、現場が使いやすいシステムを迅速に提供できます。

VADX Japanが目指す日越交流の新たな未来像

編集部
最後に、今後ベトナムと日本のビジネス交流をどのように進化させたいか、読者である日系企業経営者の皆様へのメッセージをお願いします。
ホアン(Mirabo)
VADX Japanは現在、東京だけでなく大阪や地方自治体とも連携を強めています。日本の地方のDXニーズと、ベトナムの技術リソースを繋げたい。また、日本の優れた医療DXなどをベトナムへ逆展開するような、双方向の交流を加速させたいと考えています。
アン(Nal)
ベトナムは今、単なる開発拠点ではなく、共に新しい価値を生み出す「戦略的パートナー」です。言葉や文化の壁を恐れず、私たちのような日本を熟知したパートナーをうまく活用してください。
岩崎(Gem Japan)
日本にあるベトナムIT企業の情報を、もっと簡単に入手できる仕組みを協会として作っていきます。「困ったらまずVADXに相談する」という流れを定着させ、日越のビジネスをさらに活発にしたいですね。
ファン(Kaopiz)
日本とベトナムの友好関係は50年を超え、今や不可欠な存在です。皆様のビジネスの悩みをITで解消し、さらなる発展に貢献することをお約束します。
鈴木(M&m solution)
ベトナムにはまだまだ多くのチャンスがあります。お互いに「共創の精神」を持ち、より良い未来を一緒に作っていきましょう。

在日ベトナムDX協会(VADX Japan)とは

一般社団法人在日ベトナムDX協会(VADX Japan)は、日本で活動するベトナム系IT企業を中心に構成される団体です。日越両国のデジタルトランスフォーメーション(DX)とイノベーションの発展を目的としています。会員企業間の協力強化やナレッジ共有、日系企業とのマッチングを推進。日本市場の商習慣と最新技術を融合させた高度なITソリューションの提供を通じて、二国間の持続的な経済発展に寄与しています。
https://vadx-japan.com/ja/

在日ベトナムDX協会 プロフィール

株式会社ミラボ(Mirabo Global)

Hoang Van Duc(ホアン ヴァン ドゥック)
代表取締役社長


事業内容: AI、IoT、VR/AR等の先端技術に強み。日本市場に特化し、上流工程からDX推進をサポート。
https://www.mirabo-global.com/ja/

株式会社カオピーズ(Kaopiz)

TRINH CONG HUAN(チン・クアン・ファン) 代表取締役社長


事業内容: レガシーシステムのマイグレーション(最新化)やAI導入、AWS等のクラウド活用に実績多数。
https://kaopiz.com/

株式会社Gem Japan(Gem Japan)

イワサキ ヒデトシ 代表取締役社長


事業内容: AIエージェント、ローコード/ノーコード開発を駆使し、業務自動化とリソース不足解消を提案。
https://gem-corp.jp/

M&m solution株式会社(M&m solution)

鈴木 太陽  最高経営責任者


事業内容: 製造業向け AI/IoT(画像検知等)や太陽光システム開発。IT人材の教育・紹介事業も展開
https://m2m-sol.co.jp/ja

株式会社NAL JAPAN(Nal)

Anh Nguyen(グエン トアン アン)  代表取締役


事業内容: 物流系システム、AI・クラウド開発、アジャイル開発、コンサルティングを通じた提案型開発が強み。オフショア拠点立ち上げやベトナム進出支援事業も展開
https://nal.co.jp/

    PAGE TOP