2030年までの開発計画で大きな成長が予測される|調達&ビジネスガイドブック2025

ベトナム国内の塗料・印刷インキ産業市場は、産業貿易省の指導のもと2030年までの計画のなかで、生産効率を向上、環境への負荷を抑制、創造性の向上など重要なステップを提示しています。そのことを踏まえ、今後の市場について解説します。

技術革新と環境への配慮

2030年までに塗料・インク業界の生産額は大きな成長を遂げると予測されています。鉱工業生産額の増加率は2020年から2030年にかけて13%から14%に達する見込みであり、そのうち塗料およびインク産業の工業生産額の割合は、2020年の11.5%から2030年には12%に増加すると予想されます。
そうしたなかで特筆すべきは、環境に優しい材料や化学薬品を使用し、生態系や人間の健康への影響を軽減すること、またそうした価値のある製品に投資することで製品の品質を確保し、高価値のプラスチック、化学物質、添加剤の生産の開発に集中する必要があることです。
塗料およびインク業界は、このニーズに応えるため既存の技術から最新のテクノロジーに段階的に置き換えることで生産効率を向上させ、環境への悪影響を軽減します。

発展を促進するためのオリエンテーション
ベトナム政府は、この分野における企業の製品が環境や生態系に害を及ぼさないように生産されるための科学技術を支援しています。
効果的な方法で計画を実行するために、高品質の原材料を生産するための技術への投資と適用は非常に重要です。
製造工場を適切に管理された工業地帯に移転すること、旧世代の技術を使用した塗料やインクを市場から排除することなどは、この産業が環境を保護し、持続可能な方法で発展するために必要です。
塗料・印刷インキ産業における2030年までのビジョンは、国際基準に適合しつつ、この産業の持続可能な発展と環境保護を両方満たすためにすべての関係者の協力を求めています。

国内市場の競争と発展
ベトナムの塗料産業は長期的な事業分野と考えられており、発展の余地があります。ビジネスに多くのチャンスをもたらすことが期待され、安定した利益率と大きな成長の可能性があります。
海外塗料は造船、亜鉛メッキ鋼板、空港塗装、木材、飲料カバーなど幅広い種類に対応しており、多くの利点を持っています。「AkzoNobel」や「Dulux」などの一部のブランドは、一般的な建設目的に使用されているため、消費者にもよく知られています。
ベトナムの市場は、現在、国内企業と外資系企業の激しい競争に直面しており、不動産市場の活況と多様な建設ニーズのおかげで塗料製造・貿易企業は600社以上あります。しかし、そのうち外資系企業は約70社、国内市場シェアの65%を占め、ベトナム企業は35%に過ぎません。

ブランド戦略と偽造品対策の強化
外国ブランドが高級塗料ラインを提供する一方で、国内企業は品質の良さで市場での地位を確立しています。
「KOVA」、「VINANO」、「Vinalex」などの国内ブランドは、外国ブランドと比較して価格面で競争力があり、品質の面でも力をつけていますが、直面する課題として広告戦略の弱さやブランド認知度の不足があります。
現在、多くの消費者は広告チャネルを通じて自分で購買するか、請負業者や塗装業者からを通じて製品を選びます。このため、塗料ブランドは目的の用途に適した価格と品質だけでなく、色が美しく、環境や人体に優しい高品質の製品を市場に提供する必要があります。
もう一つの課題は偽造品のまん延で、消費者が正規品と区別をするのが難しい状況です。これは正規ブランドの評判に悪影響を与えるために早急の対策が求められます。
ひとつには規制の導入、特に市場でブランド力を持つ塗料製造会社は、製品のトレーサビリティーを強化する必要があります。
ベトナムの塗料業界は国内市場のみならず、国際市場への進出にも注力しています。特に、品質と環境性能に優れた製品を提供することで、輸出市場での競争力強化が期待されています。
政府が輸出促進のための政策を強化し、企業が技術革新と品質向上に投資することでベトナムの塗料業界は国際市場での地位を確立し、競争力を高めることができるでしょう。

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