【タインホア】王朝の存在期間はわずか7年|夢と散ったアジア最大の城壁を訪ねる

ベトナムには世界遺産が多数あるが、すべてが観光名所とは限らない。タインホア省の「胡朝の城塞」もその一つだが、歴史的名所であることには変わりない。マイナー感は否めないが、わずか7年間だけ存在した王朝のアジア最大の城郭はいかなるものか!? その魅力を探るために交通便の悪さをかえりみず、我々は「胡朝の城塞」へ向かった。

旅の総評

カマタ基準
予習が必要度:★★★★★
社会科見学度:★★★★
美味しい度:★★★
行きやすさ:★★

ハノイ駅からタインホアまでの道のり

旅程

8:00 ハノイ市My Đìnhバスターミナルを出発。(バス代 80,000VND)
11:00 Lac sonのバス停に到着。バイクタクシー(100,000VND)でタインホア行きのバス停に移動
11:30 タインホア行きのバスに乗り、「Suối Cá thần Cẩm Lương」最寄りのバス停で降り、さらにタクシーに乗る。(タクシー代 200,000VND)
12:30 「Suối Cá thần Cẩm Lương」に到着
14:00 タクシーで「胡朝の城塞」に向かう(タクシー代400,000VND)
15:30 「胡朝の城塞」に到着。周囲を散策。
19:30 タインホア市内をバスで出発
22:30 ハノイ郊外のバスターミナルに到着

タインホア省ってどんなとこ?

中部沿海タインホア省は、北はホアビン省、ソンラ省、ニンビン省、西はラオス、南はゲアン省と接しており、東は南シナ海のトンキン湾に面する東西に長い省である。

海岸部のギーソン経済区ではペトロベトナムや日系石油会社が共同出資したギーソン製油所が出来上がり、地元の雇用創出、経済発展に寄与するとともに、国内の製油産業発展を後押ししている。

タインホア市から16キロに位置するサムソンビーチは、ハロン湾と並んで北部エリアの人気のビーチリゾートとして知られており、夏季シーズンには多くの観光客が訪れる。また、2011年7月にユネスコの世界文化遺産に登録された内陸部の「胡朝の城塞」が観光名所として知られる。また「神の魚が住む泉」として知られる名所が3ヶ所あり、観光の目玉として知られている。

神の魚が住む泉Cam Luong (Suối Cá thần Cẩm Lương)

タインホアには、神の魚が住む3つの泉がある。Luong Ngoc村の「Cam Luong」、Dung 村の「Cam Lien」、Chieng Ban 村「Van Nho」である。これらの泉には毎日数千人の観光客が訪れる。Cam Luongの泉には、数千匹の魚が棲み付き透明度の高い湧水の中、驚くほどの数の魚が群れている。その泉の幅も深さもそれほど大きくはない。

これが神の魚。ヒレが紅色になり美しい。大きなものは全長50cmにもなる。
湧水の小川はベトナムでは珍しいのではないだろうか?

地元の人たちは、成長すると集落に繁栄をもたらす神聖な魚として、とても大切にしている。体重2kg〜10kg程度と川魚としてはかなり大きい。コイの一種であるが、魚体はダークグレー、ヒレや背中には紅色の部分があり、とても綺麗である。

入り口まではローカルなお土産屋さんが続いている。

泳いでいるのはコイ科の魚のようですが、一種類のみです。数千匹の魚が群れて泳いでいます。この魚は神の魚と言われているので、獲ることも食べることもできません。

胡朝の城塞|開館時間:7am~5pm(城郭跡地入場無料)

南門は、アーチ型の入り口が3つ配置され巨大。
胡朝の城塞とは?

胡朝時代1397年に建てられた城郭跡で、2011年7月にユネスコの世界遺産登録。胡王朝は、皇帝として即位したが、わずか7年で没落した短命王朝であった。しかしこの短期間に10~20トンもある巨石を積み上げ、870メートル×833メートルという大きな石造りの砦を作り上げた。その中の城は当時アジア最大であったと言われる。

ベトナムの城壁は土作り、レンガ作りのものが多いが、「胡朝の城塞」は石造りである

現存しているのは四方の城壁と南北の城門だけで、残念ながら城郭の建屋は残されていない。観光のメインとなる南門は、アーチ状の三つの入口があり、石造りの力強さとともに優美さを感じることができる。城門の隣には資料館が併設されており発掘された城郭の一部や復元模型などが展示されている。

南門の上から北門を眺める。北門は約900m先にあり肉眼では捉えられない。

観光のメインとなる南門は、巨大な石造りで高さは10m程度あります。綺麗なアーチ型の門が3つあり、当時は、このアーチが城内と城外の関所で有ったと思われます。南門から直線の道があり、北門につながっています。当時アジア最大と言われた広大な城郭をたった7年で完成させたとされる、その隆盛に驚かされます。

約900mの正方形に城壁が続いている。高さは10mくらいあると思われる。

当時の状況を復元した模型や看板はありません。自らイメージを膨らますことが大切です。巨大な石造りの壁で終わってしまわないためにも、事前予習をオススメいたします。

タインホアの名物料理

「チャートム」はタインホア名物。エビの風味のもちもち食感と焼きたての香ばしさは、きっと日本人好みで癖になるはず。

タインホアには「チャートム(Cha Tom)」という名物があります。エビと肉をすり潰し、それをライスペーパーで包んで焼いた料理で、焼けたエビの赤さが食欲をそそります。ブンチャーのスープと同様の甘酢タレにつけて食べます。もちもち食感とエビの風味、さらに焼きたての香ばしさがあいまって癖になりそうです。

週末の夜は、老若男女問わず、地元のお客さんでごった返す。

取材時は週末の夜だったこともあり、地元客で満席でした。ビールのおつまみには最高ですが、残念ながらハノイでは見かけたことがありません。

タインホアといえば、サムソンビーチが有名ですが、今回はあえてサムソンビーチを外した観光としました。「胡朝の城塞」と「神の魚が住む泉Cam Luong」はとても行きづらい場所のため、ベトナム人の友人と一緒に行くといいでしょう。「胡朝の城塞」は事前予習しておくことで見方が変わり、その歴史的価値を実感できる名所旧跡です。社会科見学の一環として訪れてみるのもいいかもしれません。

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