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変わりヌクマム【食べ比べ】|ベトナムの「食」をフードアナリストちぇりが深堀り!|VIETNAMFoodLover(No.175)

伝統的なヌクマムとは一味違う、変わりヌクマム

Nuoc Mam。ベトナムは、Nuoc Mam大国。需要が高ければ高いほど、商品の幅や種類は広がるもの。実はスーパーの棚をよく見ると、ちょっと変わった素材をアピールするNuoc Mamもあるようです。これは伝統的なNuoc Mamの作り方とは違い、素材のエクストラクトを使ってNuoc Mam風に仕上げたものであることが多いですが、まろやかで使いやすいことも多いのでご紹介。

NUOC NAM CHIET XUAT CA HOI TOI DEN【THUAN PHAT】


サーモンをモチーフにして作られ、黒ニンニクの風味も加わっているヌクマム風味の調味料。脂分こそ、目に見えて存在しているわけではありませんが、サーモンの脂によるまろやかさや厚みのようなものを感じます。ニンニクは、黒ニンニクに加工したものの風合いなので生のニンニクとは違う風味。
■ 旨み      ★★★
■ 汎用性     ★★★
■ 塩の強さ    ★★★

NUOC NAM CA COM THAN【THUA PHAT】


こちらは一応ヌクマムカテゴリーではありますが、一般にヌクマムに多く使われるCaComという小さなお魚の中でも色の濃いカタクチイワシをさすことが多く、高級なヌクマムはこの魚種が使われていることが多いそうです。しかし今回ご紹介するのはかなり廉価なもので、素材のエキスを使ったものと思われます。旨みの広がりはあまりないがシャープでしっかりとした塩気が特徴。わかりやすい味。
■ 旨み      ★★
■ 汎用性     ★★★
■ 塩の強さ    ★★★★★

HUONG CA HOI【CHIN SU】


人気のCHIN-SUブランドのヌクマム風味調味料。 サーモンをモチーフにしていて、その他の薬味系のブレンドは強調しておらず、サーモンにストレートな味わいで、脂肪分の風合いは低め。横に広がる旨みの幅は流石の人気シリーズを輩出し続けているプランドの面目躍如で、そのままでも美味しいですが、汁物や煮物などに少量加えることで、簡単に旨みを強化することができます。香りは抑えめ。
■ 旨み      ★★★★
■ 汎用性     ★★★★★
■ 塩の強さ    ★★★★

100% TU NHIEN NUOC MAM CHAY【NHAT TAM】


ベトナムでは菜食が大変身近ですが、魚を原料にするヌクマムはベジタリアン食には使えません。そこでベジタリアン用のヌクマム、というものがあり色んなもので作られますが、これはなんとパイナップルが主原料。香りに動物臭はなくドライフルーツのような香りですが、味わいはちゃんとヌクマム的で興味深い。スクマムの香りは苦手だけど、味わいに興味がある、という初心者の方には使い易いかも。
■ 旨み      ★
■ 汎用性     ★★
■ 塩の強さ    ★★

Cho be NUOC MAM CA COM【LE GIA】


ヌクマムがどこまでベトナムの生活に浸透したものかというと、なんと子供用(赤ちゃん用)のヌクマムがあるほどの浸透ぶり。子供用である特徴として、ナチュラル由来のアミノ酸、保存料などの不使用、塩気を控え目にしてあることなど謳われていますが、実際に食べてみた味の感想としては塩気は強めに感じます。香りはかなり控え目なので、これもヌクマム初心者には使い易いかもしれません。
■ 旨み      ★★★
■ 汎用性     ★★★★★
■ 塩の強さ    ★★
もろもろ初心者向け
今回ご紹介したものは本来の「発酵過程」にこだわったものではなく、素材のエクストラクトを利用した、合わせ調味的な要素が強い商品群。本格的なヌクマムを望まれる方には物足りなかったり、本来のヌクマムでないことに対し、ご意見はいろいろあるかもしれませんが、単純に使いやすく、匂いが苦手と思われるヌクマム初心者に優しい仕様。直接舌に載せる調味料としては馴染みがなくとも、うま味調味料として隠し味的に煮物やカレー、日本人の食卓的には味噌汁などに加えると、非常に美味。

Writer: ちぇりさん|在住12年目。日本で1,500件、ホーチミン市内で3,000件以上を食べ歩き、現地の食材や調味料にも興味津々。食べるのも作るのも好きなフードアナリスト。
フードアナリストちぇりのホーチミンの美味いもん

掲載号:755号 発行日:2025年8月27日

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