ベトナムの情報技術（IT）市場は、特に人工知能（AI）分野で前例のない力強い発展期を迎えています。特にデータ（ビッグデータ）、クラウドコンピューティング、ネットワークセキュリティーの分野での発展は、多くの雇用機会をもたらすだけでなく、企業に大きな課題をもたらします。
IT人材の確保が課題 〜需要と給与は上昇傾向
情報通信省のデータによると、ベトナムは2025年までに少なくとも50万人の専門的なスキルを持ったテクノロジー関連労働者を必要としています。
新たに発表された「ベトナムIT & テクノロジー人材展望レポート2024-2025」によるとそれらのIT労働者の月給は3,000ドルが必要とのことです。
これにより、企業は高度なトレーニングプログラム（スキルアップ）と従業員の再スキル向上に多大な投資を余儀なくされます。
報告書はハイテク人材を採用する必要性が急増しており、スキルや経験に応じて、2024年のベトナムのプログラマーの平均給与は月給1,100～3,000ドルになると指摘しています。
特に、AIエンジニアや情報セキュリティースペシャリストなどの職種は、人材不足と企業における重要な役割のおかげで平均給与をはるかに上回っています。
ベトナムのデジタル市場はGDPの15%以上
ベトナムは政府や国際投資家からの支援のおかげで、テクノロジースタートアップエコシステムを開発する大きな可能性を秘めた国とみなされています。
ベトナムは投資されたスタートアッププロジェクトの数で東南アジア第3位にランクされており、2023 年にはテクノロジー関連スタートアップへの総投資額は5億2,900 万ドルに達しました。主に教育、健康、電子商取引など、大きな成長の可能性がある分野に焦点が当てられています。
「クアルコム・ベトナム・イノベーションチャレンジ」や「Google for Startups Accelerator」などの取り組みにより、スタートアップ企業が高度なテクノロジーやサポートリソースにアクセスできる多くの機会が開かれ、企業の開発の加速と国際市場への拡大を支援しています。
ベトナムは、金融、銀行、公共サービスなどの多くの重要な分野でデジタル変革の強い波を経験しています。
企業は、AI、クラウドコンピューティング、データ分析などの多くの高度なテクノロジーを業務に統合しています。現在、ベトナムのデジタル分野の市場はGDPの約16.5%を占めており、年間20%の成長が見込まれています。
「Google」の「eConomy SEA 2023レポート」によると、ベトナムにおけるデジタル市場の価値は2023年の300億ドルから2025年には430億ドルに増加すると予想されており、デジタル分野の市場は強力な発展の可能性が裏付けられています。
また、ベトナムは5Gやモノのインターネット（IoT）などの新技術を迅速に適用し、デジタルイノベーションの促進と技術インフラの近代化に貢献しています。
政府からの強力な支援と国際資本の流れにより、ベトナムはASEAN地域の主要な技術センターとなることが期待されています。
大きな発展の前に立ちはだかる課題
このように、ベトナムのIT市場は大きな発展の可能性を秘めている一方で、依然として多くの課題が残されていることも事実です。
特に5Gネットワーク、データセンター、クラウドサービスに関連したテクノロジーインフラストラクチャは不可欠なニーズになりつつありますが、不十分であると言わざるを得ません。インフラのアップグレードが喫緊の課題です。
さらに、サイバー攻撃がますます巧妙化しているため、特にネットワークセキュリティーとデータセキュリティーもITビジネスにとって必須です。
企業がグローバルサプライチェーンに参加するためには、厳格なサイバーセキュリティー基準を順守し、データセキュリティーに特化した人材を強化することが必要です。
報告書によると、サイバーセキュリティーやAIなどの複雑な分野における経験豊富なポジションへの需要が供給を上回っていることが指摘されています。
これにより、企業は人材の確保と同時に、スキルを向上させるための社内研修プログラムを推進する必要に迫られています。
「TopDev」CEOのPark Jongho氏は、このなかで次のように述べています。
「ベトナムが今後も発展し続け、この地域をリードするテクノロジーとイノベーションの中心地となるために、このレポートが市場分析であるだけでなく、企業や投資家がベトナムのIT産業の潜在力をナビゲートするのに役立つ羅針盤となることを私たちは願っています。」
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