プラスチック、金属、木製のパッケージと比較した紙包装の優れた利点により、この商品は世界各国でさらに普及しています。包装紙を使用する重要な産業は、食品産業、化粧品、消費財、電子機器、履物、水産物など多岐にわたります。
中国の規制によりベトナムの包装紙業界にチャンス
紙包装は現在ベトナムの主要製品であり、国内市場においても紙産業の総消費量のほぼ50%、紙輸入総売上高の45%を占めているため、包装紙産業の潜在力は非常に大きいといえます。
ベトナムの多くの包装紙企業は、貿易や輸出のために包装紙を使用する傾向が高まっていることと中国の最近の生産制限が相まって、恩恵を受けています。
特に、ベトナムにおける電子商取引の発展と最近の輸出活動の急速な成長により、パッケージ需要が現在、加速的に増加しています。
また、中国の新たな規制により同国は現在生産を制限しており、工業用紙の大規模な輸入国となっています。このこともベトナムの包装紙業界の企業に多くの機会をもたらしています。
紙パルプ協会のデータによると、ベトナムは年間350万トンを消費しており、そのうち35万トンが印刷用紙、250万トンが包装紙、19万5,000トンがティッシュ、残りがその他の種類の紙です。2025年までに包装紙の需要は1,000万トンに達すると予測されています。
EVFTA、CPTPP、RCEPなどの自由貿易協定は、高品質(コーティング)包装紙などの製品の需要を拡大し、ベトナムの包装業界に大きな輸出機会をもたらしています。
紙・パルプ産業に特化した国際展示会&カンファレンス「Paper Vietnam」は、毎年ベトナム国内で開催され、こうしたビジネス協力を結びつけ、強化し、拡大する機会を設けています。
包装業界、今後数年間で15%~20%の成長
包装材料市場は、紙、ボール紙のみならず、プラスチック、金属、ガラス、木材、繊維、皮革などの材料など、さまざまなセグメントに分かれています。
今後数年間で平均成長率は15%~20%となり、パッケージングはベトナムで最も急成長している産業の1つと考えられています。
2025年までに9,600万人のベトナム人のうち半数以上がオンラインで買い物をすると予測されており、パッケージもブランドの一部として考えられており、小売、化粧品、電子製品の輸出産業の急速な成長も、カートン包装の需要の増加に貢献しています。
現在、ベトナムには900を超える企業や工場が包装産業で操業しており、企業の約70%は主にホーチミン市、ビンズオン省、ドンナイ省などの南部地域にあります。
世界有数の市場調査機関である「モルドール・インテリジェンス」社は、ベトナムの紙包装市場の規模は2024年に26億ドルに達すると推定。さらに2029年には41億4,000万ドルに達すると予測します。これはCAGR(年間平均成長率)で9.73%の成長となります。
循環経済と持続可能性がパッケージの要件に
近年、プラスチック材料・製品の削減と代替の傾向が強まり、廃棄物管理規制がますます厳しくなっています。
食品および飲料業界の包装プロセスでは、リサイクル性の高い包装の分野が徐々に重要になってきており、これはベトナムの紙産業の発展を促進する重要な要素の1つです。
2050年までCO2排出量をゼロに削減する「Race to Zero」キャンペーンがベトナム政府によって開始されて以来、循環経済と持続可能性の要件がパッケージデザインに求められるようになりました。
包装業界の潜在力は非常に大きいと見られていますが、競争圧力が高まることにより国内企業にとって、新たな課題への取り組みが必要になります。
将来を見据えた企業は、徐々に循環型生産プロセスに移行していくことが見込まれており、業界の現在の主な焦点は、プラスチック業界を循環経済に統合するために、リサイクル性の高い素材、デザイン、パッケージングシステムを提供しようとしています。
ベトナムには製品と包装のリサイクルユニットが24カ所ありますが、今後はそうしたユニットを活用し、拡げていく取り組みも必要となるでしょう。