本記事は、ベトナムやベトナム人に起こる出来事を多彩に切り取り、解説するコーナーです。
2月24日にロシアが軍事侵攻したウクライナからウクライナ人の国内外への避難と同時に各国政府による自国民のウクライナからの避難支援が続いているが、ベトナム外務省 によると3月17日までに在ウクライナのベトナム人1400人が隣国ルーマニアなどに避難、その後ベトナム政府が手配した特別便などで最終的にベトナムへの無事帰国を果たしたという。
ベトナムのファム・ミン・チン首相はロシアによるウクライナ軍事侵攻の2日後に公式書簡を発表し、事態の平和的解決や在外ベトナム人の保護・支援を訴えた。その後チン首相はロシア、ウクライナ、ルーマニアなどのカウンターパートと電話会談して事態改善などを協議するとともに先の書簡をワルシャワのベトナム大使館を通じてポーランド側に手交したとしている。
軍事侵攻以前のウクライナには首都キエフや南部の港湾都市オデッサなどに約7000人の在留・在住のベトナム人がいたとしている。その大半はすでにルーマニアやポーランド、モルドバ、ハンガリー、スロバキアなどの周辺国に避難したとみられるが、母国ベトナムへの帰国を待つ人さらにウクライナに依然として残っているベトナム人に関しては明らかになっていない。
ベトナム政府はウクライナからの避難ベトナム人の保護と支援は政府の最優先課題と位置付けており、今後もウクライナからの帰国を希望しているベトナム人やウクライナから周辺国に難を逃れて母国帰還を待ち望むベトナム人のために帰国便などでより多くのベトナム人の帰国が無事にそしてスムーズに実現することを心から願っている。
大塚智彦(フリーランス)
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞ジャカルタ支局長などを経て2016年からフリーに。月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などに東洋アジア情勢を執筆。
※本コラムは、筆者の個人的見解を示すものであり、週刊ベッターの公式見解を反映しているものではありません。