孵化直前のアヒルのゆで卵ホビロンは、ベトナムの人々にとっては古くから馴染みの深い料理のひとつ。ベトナム産のコリアンダーと塩コショウで味付けしたこの素朴な卵料理も、洗練された料理で知られる古都フエの人々の手にかかると、大きく様子が変わる。
最大の違いは、アヒルのゆで卵にかけるスープにある。良質の魚醤、レモングラス、生姜、唐辛子、その他のスパイスで煮込んだこのスープは濃厚で香り高く、甘味とほのかな辛さが絶妙。ゆで卵を半分に割り、小さな陶器の壺に入れ、上から熱々のスープを回しかけ、最後にネギ、コリアンダー、コショウ、生姜、そして最も重要な味の決め手となるフエ風の魚醤をプラスする。フエ風の魚醤の塩辛さと芳醇な香りが全体の味をぐんと引き立ててくれる。
通常のホビロンは気軽に食せる庶民のおやつだが、フエ風ホビロンは、味付けだけでなく盛り付けまでこだわった宮廷料理の洗練された技が光る洗練された一品といえる。細部へのこだわりにより、ごく普通の料理が文化的な奥深さが味わえる特別な料理として脚光を浴びるようになった例は他にもあるが、それぞれの食材の味と香りが絶妙に調和したフエ風ホビロンは、一度食べたら最後、もう普通のホビロンでは満足できなくなる。手頃な価格、独特の風味、そして一風変わった食べ方ができることから、世界中から訪れる観光客の間で徐々に人気になりつつある。夕方になるとフエの街角の屋台等で売られているので、後悔しないようフエを訪れたら是非試してみて。

こんにちは、バオです。フフリット大学日本語学科を卒業してVetterに入社。現在、日本語検定のN1取得に向けて猛勉強中。常にポジティブで、周囲の人を楽しませたいという性格。趣味は料理や映画鑑賞、そしてヨガ。週末は、料理をしたりカフェにいったり市内をサイクリングしたりして過ごす。日本人のベトナム愛がもっと高まるために、現地でホットなニュースや流行、有益なトピックを毎日探してます。もっとベトナムに興味を持ってもらえるようにネタ探しがんばってます!
































