ベトナムでオフィスを借りる|調達&ビジネスガイドブック2025

全世界的なオフィスのトレンドは、ITの活用、働き方の多様性、人と環境への持続可能性といったキーワードが挙げられます。

高騰が続くベトナムのオフィス

近年、ベトナムでは不動産賃貸料が急騰しており、特にハノイやホーチミン市といった都市部では年間5~10%ずつ上がっているケースも珍しくありません。
そんななか、ベトナムで事務所を借りようとしたとき、オフィスビル、レンタルオフィス、バーチャルオフィス、一軒家、オフィステルなどさまざまなタイプのオフィスから選ぶことができます。
ただしこのときに気に留めておいた方が良いこととは、「オフィスの所在地 」であり、「どの場所にオフィスがあるか」ということは、その会社の信頼性やブランドイメージに直結することもあります。

さまざまなタイプのオフィス

オフィスビル

オフィスビルのなかにテナントを借りるのは、もっとも一般的な選択肢だといえるでしょう。ベトナムのオフィスビルは立地の利便性などにより、外資系不動産会社によってA、B、Cの3ランクに格付けされています。オフィス賃料は今後もますます値上げの傾向があり、空きベースが少ないという貸主優位の市場が続いていくでしょう。

レンタルオフィス

スタートアップ企業や駐在員事務所などに適した選択肢といえます。机や椅子、棚などの備品がすでに備わっており、一般的に受付、会議室やOA機器類が共有されています。

バーチャルオフィス

会社登記や登録住所としてのオフィスが必要という場合の選択肢となります。来客時の応対場所や郵便物の受け渡しなどが可能で、レンタルオフィスがバーチャルオフィスのオプションを提供しているケースが多々あります。

一軒家

契約先が個人貸主になることが大半で、そのためさまざまなトラブルのリスクが想定され、レアなケースといえるでしょう。改装費用や入居後のメンテナンス対応については、テナント負担となることが多く、また外資系企業だと登記が行えないケースもあります。契約の前には不動産業者だけでなく、弁護士や専門コンサルタントによる相談、確認を行うことをお勧めします。

オフィステル

コンドミニアム(分譲マンション)の大型供給が増えてきたため、そこで登記を行うという新たな選択肢が出てきています。ただし、こちらも貸主が個人であるケースや外資系企業だと登記が行えないケースもあります。契約の前には不動産業者だけでなく、弁護士や専門コンサルタントによる相談、確認を行うことをお勧めします。

オフィスビルとマネジメント会社の選定ポイント

ここでは一般的に最も多いオフィスビルに入居したケースを想定します。オフィスビルと言ってもいろいろで、入居するオフィスを決める際、物件が入ってるビルのマネジメント会社の管理や退去のことまで考えて契約することが必要です。
例えば退去するときの現状復帰をどこまで求められるかによっては、その費用が予算をオーバーしてしまう可能性もあります。
また、ビルの空調管理についても確認が必要です。決められた時間を過ぎたらエアコンが止まってしまう、時間外料金がかかるという契約内容になっているケースは意外に多いものです。
オフィスビルによっては、管理会社が通信や消防設備などの各種サービス業者を指定していて、その経費が家賃のほかに別途請求されるというケースもあります。
物件を探すときには、そうした細かい内容を確認し、納得した上で契約を交わしましょう。特にベトナムの事情に慣れないうちは、不動産会社を通して物件を探すことをお勧めします。

ワンストップで内装をハンドリングできる業者を

物件が決まれば内装業者に見積もりを依頼しますが、業者の選択ポイントとしては、ワンストップでハンドリングを任せられる会社をお勧めします。
ケーブルやWifiアンテナなどの配線やさまざまな許認可の手続きなど、ひと言で内装といってもたくさんの業務が発生するので、それをすべて依頼主が行うことは大きな負担だからです。
その際に、やはりここでもマネジメント会社によってスケジュールが変わるということがよくあります。
内装工事を始めるときにはマネジメント会社に図面を提出します。このときにさまざまな書類の提出を求められたりするケースもあれば、工事の承認について返事を待たされることが多いと、その間の工事がストップしてしまうこともあり、その分工期が遅れ、費用もかさむことになります。
多くのマネジメント会社は内装工事についてのハンドブックを作成しているので、業者はそれに従って工事を進めていきます。

オフィスの設計のタイムライン

内装のプランについては、まず平面図(2D)が用意できた段階で設計業者との打ち合わせが始まります。契約していなければこれを入手することはできないので、見積もりはビルとの契約が済んでから出されることが一般的です。
そこで大まかなデザインが決まれば次に立体図(3D)を使って進めていきます。3Dの図面はカラーなので、カーペットや壁紙の色、家具などについてもイメージを作ります。
それを見積もりとして提出し、発注を受けたら工事を開始します。見積もりまでは料金はかかりません。スケジュール的にはここまでで大体2週間から1カ月くらいです。
家具に関しては、ベトナムには大手のオフィス家具メーカーがなく、既製品がそれほど充実していないので、オーダーメードで発注するのが一般的であり、その方がコスト的にも有利です。
内装業者が家具の製作を手がけることもあれば、また別の会社や工場に発注することもあります 。ただ安価な製品は品質が劣ってしまうこともあり、1年後には問題が発生するということも多々あります。
最近のOA機器はほとんどが無線LANでつながっており、パソコンも基本はノートパソコンです。デスクトップパソコンを有線で使うケースは建築・設計用の専門ソフトを搭載している機種など非常に限定されているので、IT関係の工事についてもそれほど大掛かりになるケースは少ないでしょう。

ベトナムのオフィスづくりの事例

初めてベトナムに進出した日系企業がオフィスを構えたというケースを想定すると、数人規模でデスクや家具を用意し、各種OA機器に必要な配線工事を行い、内装を整えるのに2カ月くらい。進捗のなかで想定外のことも起こってくるのでそのくらいはかかると考えておいた方がいいでしょう。
内装工事が終了した後もさまざまな汚れや傷、不具合などが見つかることもあります。その場合には引き渡し後も修正や調整を続けることになります。
オフィスビル営業時間外はエアコンが入らないため、工事の時間にも制限がありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
オフィスの設計やデザインを手掛ける業者には、さまざまなパートナー企業とのタイアップによってワンストップでサービスを提供する会社もあるのでまずは相談の上、見積もりを依頼しましょう。

図面をもとにこちらからの要望を伝え、大まかなレイアウトを決め、カタログなどから家具や備品を選べば見積もりを出してもらえます。
オフィスビルなどはある程度空間のパターンが決まっており、どんな家具をどうレイアウトするかということに絞られるケースも多いといえるでしょう。
スケジュールはストックのある家具の中から選んでいけば最短で一週間ほどあれば引き渡しが可能です。逆に輸入する必要があればオーダーから1〜3カ月かかるケースもあります。
それを逆算すると、細部にこだわったり、本社に稟議(りんぎ)をかけなければならない場合には最初の見積もりから半年くらいを目安に考えたほうがいいかもしれません。

オフィス機器は買取が基本、専門業者に依頼を

コロナ禍以降、オフィスに欠かせなくなったのがオンライン会議のための設備です。最近では大型モニターの価格も下がってきたので、プレゼン用のプロジェクターを兼ねて会議室に必ず設置されることが多くなりました。マイクやスピーカーについても同様です。
まだまだペーパーレス化が進んでいないベトナムでは紙ベースのドキュメントをファイルしておくことが多く、複合機のニーズも高いといえます。
こうした周辺機器についても内装工事の段階で業者に発注します。そうしたOAや通信の機器についてもローカルの店舗などで求めることはできますが、ある程度の数をそろえなければならない場合などは、専門の業者や内装業者に手配を依頼した方がいいでしょう。
業務で利用する各種ソフトについても事前に打合せておけばプレインストールの形で引き渡してもらえますが、会計ソフトや勤怠管理システム、製造管理システムなどはそれぞれの企業によりカスタマイズが必要です。
専門業者であれば、そうしたシステムについても開発まで請け負ってくれるケースもあるので相談してみましょう。
また、文具や家電など細かい備品についても、個々に購入することももちろんできますが、内装関連の業者に一括で注文依頼することも可能です。

オフィス退去時の注意点

最初に述べたように、入居時に交わしたビルマネジメント会社との契約に退去時の条件についても書かれていますので、それに従って現状復帰させることが大事です。
ビル管理会社に工事の申請を出し、工事をしてもらうため、このときも内装業社への依頼が必要です。最初の契約書に書いてなくてもマネジメント会社から依頼されたことはやらなければなりません。そこを怠ると後からトラブルになることもあるので注意が必要です。
またプロバイダーなどとの契約も解約しておかないと料金も引き続き発生します。移転先でも引き続き契約したい場合であっても、同じ条件とは限らないので、問い合わせて必要な手続きをとるようにしましょう。

取材協力・監修
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