麻薬犯罪の規模が拡大 ~ゴールデン・トライアングルから麻薬が流入、第三国への中継地に~

犯罪統計
国内では薬物事犯の摘発が相次ぎ、その規模は拡大している。
 最近の薬物事犯について、公安省や最高人民検察院のデータなどを元に解説する。

ホーチミン市で大規模な薬物事犯が頻発

①今年3月20日、ビンタン区で中国人やベトナム人の男らが軽トラックで覚醒剤約300キロを輸送中に当局が現行犯逮捕、さらに3月28日に主犯格の中国人の男(57)を逮捕した。主犯格の男は愛人のベトナム人の女(40)の名義でベトナム国内に会社を設立し、ビジネス目的と偽りベトナムやオーストラリア、ミャンマーなどを往来していた。
ベトナム当局はこの会社が虚偽の輸出申告により3月13日付けでベトナムからフィリピンに覚醒剤を密輸したことを突き止め、フィリピン麻薬取締庁(PDEA)と連携しマニラ港に貨物が入港時に覚醒剤276キロを発見、摘発した。

②3月27日、当局はホックモン県のアン・スオン交差点付近で不審なトラックを発見、車内からヘロイン約315キロを発見、主犯格の台湾人の男(33)を逮捕した。

③4月12日、交通警察が5区で検問中に台湾人とベトナム人の男らが運転する3台の不審車両を発見、約600キロの覚醒剤を摘発した。当局は捜査を進め、翌13日に同市10区リー・トゥーン・キエット通りの倉庫で覚醒剤454キロを発見した。

④5月11日、当局はビンチャイン県で台湾人の男が管理する倉庫でケタミン500 キロ(5000億ドン相当)を発見、関係者の中国人や台湾人らの男女数人を逮捕した。

 公安省によると、これらは氷山の一角だという。今年年初5カ月に国内で押収された不正薬物は合成麻薬が約4トン、ヘロインは1000包で前年の3倍に上る。これらは全て黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)のミャンマー側からベトナム経由で第三国に密輸される計画だった。

次にグラフで近年の薬物事犯の推移を解説する。

◇薬物事犯の検挙数の増加

公安省によると、2016年から2018年にかけて、薬物事犯の検挙件数と検挙人員はともに増加、また不正薬物の押収量はこの3年間で2倍以上に増加した。
最高人民検察院によると、全国における薬物事犯は2007年で約1万900件、2017年で約1万9800件、起訴は2007年で約 1万5000人、2017年で約2万4800人となった。犯罪検挙人員が全体的に減少傾向にある中で薬物事犯は増加しており、特に直近の3年間で顕著だという。
 

国内での薬物事犯が増加している原因について、当局の見解を紹介する。

◇中継地として第三国に密輸、国内の中毒者も増加

 公安省麻薬犯罪捜査警察局によると、近年は麻薬犯罪組織がベトナム中部やホーチミン市を密輸の中継地に利用している。背景としては、地理的に複数の国へのアクセスがしやすいこと、さらに税関の輸入書類や貨物の検査免除制度を乱用して優良企業やペーパーカンパニーの名義を不正利用して麻薬をベトナムに密輸入、その後、第三国に密輸出するケースもあるという。

 統計によると、黄金の三角地帯からベトナムに流入する不正薬物のうち20%が国内消費、80%は海外へ密輸される。国内の不正薬物中毒者数は全人口の0.2%で増加傾向にあり、実際はさらに多いとみられる。

引用元:VnExpress 7月2日, 3月28日/Dan Tri 3月28日/Cong An 4月19日(データなど:公安省、最高人民検察院より)

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