ASEANで事業拡大を図る「JCB」がフィンテック企業「Soft Space」と資本業務提携!その背景と今後のベトナムでの展開を直撃!

日本でも有名な「JCB」が、昨年2021年6月にASEAN事業創造部をシンガポールに設置しました。ASEANを成長マーケットと捉え、ベトナム・インドネシア・フィリピン・タイなどのアジア各国で、国としてのキャッシュレスに貢献し、消費者の決済活動をより便利にしていく活動を通して、さらなる事業の拡大を目指しています。

今回は、その一環としてフィンテック企業「Soft Space」と資本業務提携した話を中心に、ASEAN営業部部長片野氏にインタビューをしました。

JCBのご紹介
・1961年に創立して以来、日本にクレジットカードという新しい決済方法を導入したパイオニア。
・その後国際展開を行い、その後国際カードブランドを運営する日本で唯一の企業として世界を舞台に様々な事業を展開。
・世界中でJCBカードを利用できる加盟店ネットワークを展開するとともに、国内外のパートナーとJCBカードの発行を拡大。
・現在JCBカードはアジア地域を中心に、1億4,000万人以上の会員に利用されている。

「JCB」がASEANで挑戦する理由とは

ASEANを戦略的需要マーケットとして捉えている「JCB」

Vetter
今日は宜しくお願いいたします。
片野氏
こちらこそ、宜しくお願いいたします。
Vetter
貴社は世界中に幅広い加盟店ネットワークをお持ちですが、その中でも特にASEANにフォーカスしている理由を教えていただけますか。
片野氏
はい。理由は大きく分けて3つあります。

  1. ASEAN自体が人口・経済ともに成長しており、ポテンシャルの高いマーケットであること
  2. 決済という観点において、銀行口座、クレジットカードを保有している人がまだ少なくビジネス機会として成長余力があること
  3. ASEANの人々は日本に対してポジティブな考えを持っていて、日本企業であるJCBが価値を提供できると考えているからです。

新規事業創出のための活動をするシンガポール拠点のASEAN事業創造部

Vetter
シンガポールにASEAN事業創造部を作られたとのことですが、どういった組織なのでしょうか?
片野氏
2021年6月に、シンガポール法人傘下で設立されました。日系企業を含む現地企業との連携やスタートアップ企業との戦略的提携による既存のカード決済事業の枠組みを超えたサービスの開発、新たなビジネスの創出等を目指す組織です。
Vetter
組織が新設された背景を教えていただけますか?
片野氏
はい。これまで日本企業(ブランド)である武器を使って、会員・加盟店を共に伸ばしてきました。しかし、よりASEANでのプレゼンスを高めていくために、それ以外の強みも作っていきたく、新規ビジネスを立ち上げる必要があると考えました。

ただ、既存の組織に新たなミッションとしてこの領域を動いてもらうのではなく、より自由に動き、新しい発想で考えられるようにという発想で今回、日本から2名を送り込み、独立した組織、新しい部署を作りました。

マレーシアのフィンテック企業「Soft Space」と資本業務提携!その真意は


このたび、JCBはマレーシアのクアラルンプールに本社を置くフィンテック企業である「Soft Space」へ約5百万USドルを出資するとともに、マレーシアでのJCBカード発行および加盟店獲得業務に関するライセンスを付与したことを発表しました。

ASEANの新規ビジネスの一つとして、マレーシアのフィンテック企業「Soft Space」へ投資を実施し、取り組みを開始

Vetter
今回の投資によって、どんなことが可能になるのでしょうか?
片野氏
短期的なアクションとしては、「Soft Space」が提供しているタップオンモバイル端末を活用することで、JCBの既存のクレジットカード事業との連携ができるようになります。
タップオンモバイル端末
市販のスマートフォンやタブレットに 「Soft Space」のアプリケーションを入れるだけで JCB コンタクトレスの取り扱いや「Soft Space」の各種マーケティングサービスが利用できる端末として使用可能。
Vetter
その先はどんな展開をお考えでしょうか?
片野氏
中長期的なアクションとしては、将来的に「Soft Space」が持っているテクノロジーを、JCBのビジネスと掛け合わせて、JCBの顧客である銀行やカード会員に対して新しい価値とソリューションを提供できると考えています。

特にASEANは銀行口座の保有率やクレジットカードの普及率が低い一方で、スマホの普及率は高いため、「Soft Space」が持つ技術を使い、スマートフォンを使ったマーケティング施策のような新しいソリューションが提供できると評価しています。

2012年に設立されたマレーシアのFinTechプレーヤー「Soft Space社」
片野氏
今後、JCBの既存顧客にメリットを提供して、JCBの事業拡大を行っていくために、「Soft Space」のソリューションを活用していきたいとも考えています。また逆に、「Soft Space」も弊社と連携することで、「Soft Space」のマーケットシェアも広がっていくため、両社がWin-winの関係を作れるという構想があります。

ASEANマーケットにおける今後のチャレンジと展望について

「Soft Space」の取り組みを通じたASEANマーケットに対する意義

Vetter
今回はマレーシアの企業との業務提携ということですが、今後、他のASEAN諸国での展開も検討されているのでしょうか?
片野氏
はい。まずはマレーシアのマーケットシェアを広げることが優先ですが、その先にはインドネシア、ベトナム、フィリピン、タイなど他の国でもビジネスを拡大していくつもりです。

「Soft Space」の持つフィンテックの技術力とJCBの持つネットワークを掛け合わせて、マーケティング施策を行うことをASEAN全体で推進したいと考えています。

Vetter
ベトナムやインドネシア、フィリピンなどは、まだまだ現金中心のような印象を受けますが…。
片野氏
そうですね。それらの国に関しては、JCBが「Soft Space」との取り組みを通じて、国としてのキャッシュレスに貢献し、消費者の決済活動をより便利にしていきたいと思っています。

ASEANのキャッシュレス推進という社会的意義の元、JCBがASEANの中で存在感を増すことを目指していきたいです。

今後の展望

Vetter
今後の展望を教えていただけますか。
片野氏
JCBはASEANマーケットにおいてまだまだチャレンジャーの立場ですので、様々な仮説を立ててトライし、検証するというPDCAをどんどん回していきたいです。この意味で、「Soft Space」との取り組みを深める以外に、他のパートナー企業やスタートアップとの提携にも力を入れていきます。
また外部との連携により、JCBとしての足元のクレジットカード事業拡大と、中長期的には新規ビジネス創造のための戦略を並行して進めていきます。

今回の「Soft Space」との資本業務提携を機に、ASEANの他の国々でも、新たなビジネスの機会を模索しているJCB。クレジットカード事業においては、すでにベトナムでも多くの加盟店を抱えていますが、今後のベトナムにおける新規ビジネスの展開に目が離せません。

Asean_business_development_department(連絡先はこちら)
Asean_business_development_department_representation@jcb.co.jp

基本情報

JCB Co., Ltd.(ASEAN事業創造部)

連絡先 ASEAN事業創造部
Asean_business_development_department_representation@jcb.co.jp
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