2016年1月から始まったマイナンバーは、長期在住者にとっては気がかりな制度です。いちばん気になるのは銀行口座の扱いですが、まだ混乱しており、金融機関によって対応が異なります。銀行に相談しましょう。
◯マイナンバーの対象者
国民一人ひとりが持つ12桁からなる個人固有の番号のことです。「国民総背番号制」とも言われます。確定申告、健康保険料の支払い、年金の受け取りなど、各種行政手続きを行う際は、この番号が使われます。
一生同じ番号で、変更されることはありません。マイナンバーは、日本に住民票を持っている人にだけ発行されます。渡越時に住民票を抜いてきた場合、日本人であっても発行されません。
◯マイナンバーを持たない場合の銀行口座
マイナンバーを持たない長期海外在住者にとっていちばん気になるのは、銀行口座です。以前から原則として、「日本非居住者」(国内に住所がなく、日本国外で継続して1年以上居住する個人)は、日本に銀行口座を持つことができない決まりになっています。
ただ銀行は現住所確認をしませんし、届け出をした住所に、銀行から書類が送られてくることもありません。そのため海外転出者も、銀行口座が維持できている、というのが現状です。ところがマイナンバー導入以降、マイナンバーを持たない海外在住者は、これまでと異なる対応が必要になっています。
2016年1月以降、日本の銀行口座を利用した、海外への送金および海外からの受け取りには、各金融機関へのマイナンバーの登録が必要となりました。ところが翌月には、金融庁から「海外在住者はマイナンバーなしでも海外送金可能」という異例の発表が行われています。
現状としては、一部の金融機関では「猶予期間」として、今まで通りの利用を受け付けているようです。2018年1月からは、国税通則法などの定めにもとづき、預貯金口座に関わる個人の情報とマイナンバーをひも付けて管理すること(いわゆる「預貯金口座付番」)が義務付けられており、銀行が万が一破たんしたときに預貯金の円滑な払い戻しを行う際や、これまでも行われてきた行政機関による税務調査や生活保護などの資金調査への回答を行うために利用されます。
今後は、銀行に海外転出することを連絡すると、現在持っている銀行口座を閉鎖して、非居住者用口座を開設するか、もしくは非居住者用口座に切り替えをすることを求められるようになるでしょう。非居住者用口座は利用できるサービスに制限があります。
マイナンバーの通知は日本の住所に送付されている。そこには、マイナンバーカードの交付申請書がついているので、これを使ってカードを申し込む。カードは顔写真つきで、身分証明書にもなる。