データ法(法律第60/2024/QH15号)は、デジタルデータの取扱いに関連する組織・個人の権利及び義務を規定する包括的な法律であり、2024年11月30日に公布され、2025年7月1日より施行されています。
また、データ法の細則として、政令第165/2025/ND-CP号(以下「政令165号」といいます。)が、2025年6月30日に公布され、2025年7月1日より施行されています。
本稿においては、データ法および政令165号において注目される点をご紹介します。
データ法の適用対象
データ法の適用対象は、ベトナム籍の団体・組織・個人、ベトナムに所在する外国籍の団体・組織・個人、ベトナムにおけるデジタルデータ活動に直接関与しまたは関連する外国籍の団体・組織・個人と規定されています。そのため、適用対象は非常に広範であり、日系企業を含め、ベトナムで事業を行う企業とその従業員は全て該当することになります。
なお、ベトナムにおいては、2026年1月1日から施行される予定の個人情報保護法も注目されています。データ法も情報処理を対象とする点においては個人情報保護法と似ていますが、個人情報保護法が「個人情報」(個人を識別するに足りる情報)を対象とするのに対して、データ法は「個人情報」に該当しない情報の取扱いに関しても適用があるものです。
データの分類と管理義務
データ法においては、「データ」を重要度において左記のとおり3つに分類しています。
| 重要データ(Important Data) | 国家の防衛・安全保障、外交、マクロ経済、社会の安定、国民の健康・安全に影響を及ぼし得るデータであり、首相が定めるリストに掲載されたもの。 |
| コアデータ(Core Data) | 重要データのうち、特に上記の事象につき「直接的な影響を及ぼすデータ」として首相のリストに掲載されたもの。 |
| その他のデータ | それ以外の一般的なデータ |
このようなデータのうち、重要データとコアデータとして指定されるデータ所有者は、当該データへのアクセスの制限、暗号化などの高度なデータ管理体制の構築、当局に対する評価書の提出等が求められます。首相が指定するリストは既に公開されていますので、ご興味の方、該当するデータを取り扱っている可能性のある企業は、専門家と相談の上で対応の要否を協議されることをおすすめします。
このほか、データの所有者および管理者には、特に重要データとコアデータを処理する場合、データの収集・保管・管理に関する社内規程の作成、安全な内部管理体制の構築といったさまざまな義務が課されていますので、ベトナムで事業を行っている企業は、既存の体制でデータ法に適合しているか見直しをされることをお勧めします。
国へのデータ提供義務
データ法は、①緊急事態への対応・処理、②国家安全保障上の脅威、③災害、④暴動・テロの予防・対策のため必要があるといった場合には、データを取り扱う組織・個人に対して、国に必要なデータを提供することを義務付けています。
それと同時に、データ提供者側の懸念にも配慮する形で、当該データの提供を受ける国側の義務(目的外使用の禁止、受領に際しての記録、事後の破棄など)についても規定しています。
データ処理活動に関するリスク評価、越境移転に関する影響評価
コアデータおよび重要データの管理者は、当該データの処理活動に関して、定期的にリスク評価を実施し、その評価結果を公安省に通知する義務を負うとされています。また、データの所有者、管理者は、コアデータおよび重要データをベトナム国外に移転(越境移転)等する場合、その影響評価を実施し、当該評価書を公安省に提出する義務を負うとされています。
これらの情報処理に関するリスク評価、越境移転に関する影響評価については、現行の個人情報保護に関する政令、そして間もなく施行される個人情報保護法においても採用されている制度です。個人情報として既にそれらの評価書を公安省に受理されている場合には、データ法に基づく評価書の提出は不要とされています。
これらの評価書の提出は、提出義務を負う企業、個人にとって大きな負担になると思われます。個人情報としての評価書の提出に関しても、運用が定まっておらず、提出しても公安省に受理されないことがあるといった混乱が生じていましたので、早期に運用が固まることを期待したいと思います。ベトナムにおいて事業を行っている企業は、専門家と相談の上で最新情報の取得に努めていただく必要があろうかと思います。
※本情報は2025年12月3日時点のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。
コンサルタント経歴
パートナー弁護士
2016年~17年ニューヨーク駐在、2018年英国University College London(LL.M.)卒業。2018年よりベトナム駐在。
ベトナムやアジア各国のクロスボーダーM&A、不動産、労務、紛争などのベトナム関連法務を広く取り扱う。
アソシエイト弁護士(ベトナム)
2018年ハノイ法科大学(LL.B.)卒業。2020年名古屋大学大学院法学研究科(LL.M.)卒業。当事務所ハノイオフィス勤務。
ベトナム法弁護士として、ベトナム法務全般を取り扱う。
基本情報
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| 電話番号 | ・ホーチミンオフィス:84-28-7307-1550 ・ハノイオフィス:84-24-3275-4230 |






































