日本人社員の現地採用フロー
STEP 1 人材募集
(STEP 1〜4までのプロセスはローカル人材と大きく変わりません)各種求人媒体、求人票などのメディアや人材紹介会社に依頼し、仕事内容、職種、給与などを明記して募集します。給与はローカル人材の2.5〜3倍というイメージです。
ベトナム人の雇用と同様、外国人に対しても「有期雇用」と「無期雇用」の二つの就労形態があります。有期雇用は実務上は1年ずつ、労働法上は1年~3年と定められており、1回のみ更新ができます。それ以降の更新は「無期雇用」になります。
STEP 2 書類審査
(STEP 1〜4までのプロセスはローカル人材と大きく変わりません)応募者から直接、あるいは人材紹介会社を通じて、履歴書や職務経歴書が送られてきます。応募書類の多くは英語、日本語です。そのなかから面接したい候補者を選びます。
STEP 3 面接
(STEP 1〜4までのプロセスはローカル人材と大きく変わりません)面接の回数は大体1〜2回、日本在住者との面接はオンラインでも行われます。大手だとHRの担当者が最初に面接し、募集部門の上司に当たるディレクターが面接から採用を担当するケースも珍しくありません。面接から内定までの期間は一般的に1〜3週間です。
STEP 4 内定
(STEP 1〜4までのプロセスはローカル人材と大きく変わりません)それぞれの条件が合い、入社の合意ができれば候補者に対して「内定通知書(オファーレター)」を出します。内定から入社の意思確認までは最長一週間程度と考えて良いでしょう。
STEP 5 「労働許可証」などの申請準備
採用活動と同時進行で、雇用者は「外国人労働者雇用需要説明書」を準備し、所轄機関で承認を得なければなりません。一方、内定者には「労働許可証」「就労ビザ(DN)」「一時在留許可証(レジデンスカード:TRC)」の取得に必要な書類を準備してもらいます。労働許可証は「管理職(CEO)」「専門家」「技術者」の3種類があり、それぞれに必要な書類が異なります。申請は雇用者が行います。
STEP 6 入国と入社
内定の承諾から入社までの間に上記の手続きが必要であり、それが完了するまでに3カ月程度かかるのが一般的です。それまでの間、日本でリモートワークをしたり、前倒しで入国してもらうケースなどがあります。
日本人被雇用者を対象とした社会保険と福利厚生
現地採用日本人に関しても、ベトナムの労働法が適用されます。ベトナムの社会保険、健康保険も失業保険以外は強制加入となり、産休手当、疾病手当などが必要に応じて支給されます。
福利厚生に関しても、昇給、賞与はベトナム人とほぼ同じです。特筆すべきものに関しては海外医療保険、日本への一時帰国手当など、また採用者がベトナム以外の場所に在住しているケースでは片道の渡航費も支給する場合があります。
また、一般的に周知されていませんが、外国人が退職あるいは解雇となった場合、失業保険がないので、代わりに一年以上勤務した場合には退職金が別途支払われることになります。
計算式は「雇用期間(年数)×月給(退職前6カ月の平均賃金)×50%」で、2カ月分の給与と比べて多い方で支払います。
日本人 現地被雇用者の給与イメージ
・営業職 年齢20代後半から30代前半 USD2,000~3,000
・年齢30代後半から40代 USD2,500~3,500
・技術職40代~50代前半 USD2,500~4,000
・50代前半(マネージャーで入ることが多い)
・マネージャー・工場長 USD3,000~5,000
※日本人 現地被雇用者は基本的に新卒を対象としない。
日本人社員に少しでも長く働いてもらうために
近年、日系企業の担当者の間で聞かれるのが「採用した日本人が、ようやく仕事に慣れてきた1〜2年目に退職してしまう」という声です。
従業員側にとって、日本から海外へ就職することはとても大きな決断となるため、多くの不安を抱えながら仕事をする社員も少なくありません。
募集の際、ベトナムや企業の魅力を伝えることはもちろんですが、業務の難しい場面や自社のキャリアパス、どういった方が長く働け、どういった方は短期退職しているのか、など含めてお話しすることで、入社後のミスマッチを防ぐことにつながると思います。
入社後の人事教育も大事です。日本と同じようにOJTをメインに進めていても、やはりベトナムと日本では商慣習や企業風土も変わってくるので、先輩や同僚などが積み上げてきたナレッジを社内イントラネットで共有する「社内Wiki」を構築しているなど企業側でもさまざまな努力が見られます。
退職・解雇に関わる手続き
STEP 1 試用期間満了による退職
ベトナムでは、労働法により労働者が手厚く保護されており、会社が社員を解雇をすることは非常に困難ですが、試用期間中はその次第ではなく、法で定められた60日間が終了する3日前までに文書で通知すれば会社側からの解雇が可能です。
STEP 2 有期契約満了による退職
有期雇用の場合、1〜3年の契約期間が終了し、更新や無期雇用への転換がされない場合は被雇用者に対して退職と解雇の手続きをとることになります。この場合は契約満了の15日前までに文書で通知します。
STEP 3 退職合意書の作成
会社都合による解雇は難しいので、労使で協議をして「双方合意の離職」という形にします。この場合「退職合意書」を作成しておくといいでしょう。
STEP 4 無期雇用契約者の退職
自己都合による退職の場合、被雇用者は退職日の45日前までにその意思を会社に通知する必要があります。
STEP 5 退職手当・失業手当の算出
12カ月以上勤務した社員は、退職に際し手当を受け取る権利があります。ただし勤務先からではなく、失業保険基金から支払われる場合がほとんどです。
STEP 6 有給休暇の買い上げ
有給休暇が何日残っているかを計算します。日本では退職前に有給消化期間を設けますが、ベトナムの場合、現金で買い上げるのが一般的です。
STEP 7 引き継ぎと備品の返却
引き継ぎが必要な事項や備品の返却はリスト化して、漏れがないようにします。 退職時に自分のパソコンにあるデータを消去したり、顧客情報などを持ち出したりする社員もいますので、退職時には誓約書を交わすなどの対策も必要です。
退職日には、会社の備品、事務所の鍵、名刺などを返却してもらいます。退職者の社用メールアドレスは、後任者のアドレスに転送設定をします。
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