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ベトナムの労務管理と制度|調達&ビジネスガイドブック2026

ローカル人材、外国人労働者を問わず、ベトナムで人を雇用するときには法律に基づいたさまざまな条件のもと必要な手続きを進めなくてはいけません。その概要について解説します。

就労規則の作成について

すべての企業で就労規則を作成しなければならず、従業員の数が10名以上になると、書面で作成し、かつ内務局への登録が義務付けられています(労働法118条1項、119条1項)。
就業規則の必要的記載事項は、次のとおりです(労働法118条2項)。

・労働時間、休憩時間
・職場における秩序
・労働安全衛生
・職場におけるセクシャルハラスメントの予防や対応、セクシャルハラスメント行為に対する処分の手続き
・使用者の財産、営業上・技術上の秘密、知的所有権の保護
・労働者を労働契約と異なる業務に一時的に異動させる場合
・懲戒処分の対象となる行為および懲戒処分の内容
・物的責任
・懲戒処分を行う権限を有する者

労働契約書の作成について

企業が労働者を雇用する場合には、原則として、書面で労働契約を締結しなければならないとされています(労働法14条1項)。
労働契約書の必要的記載事項は、次のとおりです(労働法21条)。

・使用者の名称、所在地および使用者側で労働契約を締結する者の氏名、職位
・労働者の氏名、生年月日、性別、居住地、身分証明書番号
・業務内容および勤務地
・労働契約の期間
・賃金額、賃金の支払方法・支払期限、手当その他の補助
・昇格、昇給制度
・労働時間、休憩時間
・労働者のための労働保護具
・社会保険、健康保険、失業保険
・職業訓練、教育、技能向上

休日・祝日、有給休暇、時間外労働の規制、時間外賃金などについても細かな規定が置かれており、日本よりも規制が厳しいものもあるので注意が必要です。

試用期間について

ベトナムの労働法には、試用期間についての細かな規定が置かれています。試用期間として設定できる期間は業務の性質によって次のとおりとされていますが、1つの業務に対して試用期間を設定できるのは1回のみです(労働法25条)。

・企業の管理者の業務の場合: 180日まで
・短期大学以上の専門的・技術的水準を要する業務の場合:60日まで
・中級の専門的・技術的水準を要する業務の場合:30日まで
・その他の業務の場合:6営業日まで

試用期間中の賃金は、正規の額の最低85%を確保しなければならないとされています(労働法26条)。
なお、試用期間中は、事前通知や補償をすることなく、いつでも試用契約を終了させることが可能です(労働法27条2項)。

ビザと労働許可証について

ベトナムに長く暮らしている人でも混同しているケースがありますが、ビザと労働許可証は別の制度であり、管轄する官庁も違いますので、別々の手続きが必要です。ベトナムにおけるビザとは、ベトナムに入国して滞在するための要件であり、たとえ就労を目的とするビザを取得していても、実際にベトナムで働くためには、一定の例外規定に該当する場合を除き、労働許可証(ワークパーミット)を取得することが必要です。
なお、労働許可証を取得すると、ビザに代わって一時在留許可証(レジデンスカード/TRC)を取得することが可能となります。一時滞在許可証を取得すれば、その有効期限内であれば、何度でも自由にベトナムを出入りすることが可能です。
すなわち、ビザ・TRC = ベトナムに入国・滞在するための要件、労働許可証 = 実際にベトナムで働くための要件、ということになります。

なお、ベトナム国内で就労するわけではないものの、商用目的で頻繁に日本とベトナムを行き来するのであれば、「APECビジネストラベルカード」(ABTC/APECカード)を取得することをお勧めします。APECカードを取得すれば、ビザなしでベトナムに最大90日間連続して滞在することが可能です。また、2026年1月現在、ベトナムを含むABTC制度に参加している19カ国(オーストラリア、ブルネイ、チリ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)にビザなしでの渡航・滞在ができます(ただし国によって詳細な要件が異なる場合があるので、事前に確認してください)。
さらに、ABTC制度に参加している国では、空港の入国審査場にAPECカード保有者用の優先レーンが設置されているので、出入国の審査時に長い行列に並ばなくてもよいというメリットもあります(ハノイのノイバイ国際空港、ダナンのダナン国際空港、ホーチミンのタンソンニャット国際空港にも優先レーンがあります)。
日本人の場合、APECカードは日本の外務省に申請します。手数料は、2026年1月現在、13,000円です。

ベトナムで働くためのビザ

日本人がベトナムに入国する際、ビザなしでも45日間までの滞在が認められています。しかし、45日間を超えて滞在する場合は、目的に応じたビザを取得する必要があります(上記のとおり、APECカード保有者はビザが不要です)。
ビザは、2026年1月現在、全部で27種類ありますが(2026年7月1日から新たに種類が追加される予定です)、ビジネス目的の場合に取得するビザは、主に次の4区分です。

・DTビザ(DT1/DT2/DT3/DT4):ベトナムの現地法人に出資するなどしてベトナムに投資している外国人が対象となるビザです。有効期限は投資額によって異なり、1年から最長5年までです。
・DNビザ(DN1/DN2):ベトナムの現地法人への出張その他ビジネス目的でベトナムに滞在する外国人が対象となるビザです。有効期限は最長12カ月とされていますが、一般的に認められるのは3カ月程度であることが多いです。
・NNビザ(NN1/NN2/NN3):ベトナムにある外国企業の駐在員事務所や支店の代表者やそれらの従業員、あるいはベトナムで行う投資プロジェクトの代表者となる外国人が対象となるビザです。有効期限は最長12カ月です。
・LDビザ(LD1/LD2):上記いずれにも該当せずにベトナムで就労する外国人が対象となるビザです。内資・外資を問わず、ベトナム企業に雇用される場合は、通常、このビザを取得することになります。有効期限は最長2年です。
・Eビザ:ネットで申請手続ができるビザです。有効期限は最長90日です。

なお、それぞれのビザには、有効期限内に入国・滞在できる回数が1回のみの「シングルビザ」と、何度も入国・滞在が可能な「マルチプルビザ」の2種類があります。有効期限内に2回以上、出入国を繰り返す方はマルチプルビザを取得する必要があるので注意が必要です。

労働許可証の種類

上記でもご説明したとおり、たとえ就労を目的とするビザを取得しても、実際にベトナムで働くためには、一定の労働許可証取得免除事由に該当する場合を除き、労働許可証を取得することが必要です。
労働許可証を取得するためには、原則として、以下のいずれかのカテゴリーに該当する必要があります。

(1) 管理者
企業法の規定に基づく企業を管理する者、または機関・組織の長もしくは副長(現地法人の代表者は管理者に該当します)
(2) 業務執行者
① 企業の支店、駐在員事務所、または事業所の長
② 機関、組織、または企業の1つの分野の長として直接管理し、かつ、ベトナムで就労しようとする業務、職位について適合する実務経験を3年以上有する者
(3) 専門家
① 大学卒業以上に相当する学位を有し、かつベトナムで就労する予定の業務、職位に適合する2年以上の実務経験を有する者
② 金融、科学技術、イノベーション、国家デジタルトランスフォーメーション、またはベトナムの中央省・省同等機関、省級人民委員会が認定した、もしくはベトナム政府との協力協定に基づく優先して開発する経済社会分野において就労することが予定される専門家の場合、教育訓練を受けた専攻分野で大学卒以上の学位を有し、かつおよびベトナムで就労する予定する業務、職位に適合する1年以上の実務経験を有する者
(4) 技術者
① 1年間以上の教育を受け、かつ、ベトナムで就労しようとする業務、職位に適合する2年以上の実務経験を有する者
② ベトナムで就労予定の職位に適合する業務に従事した3年以上の実務経験を有する者

労働許可証取得免除の対象者

労働許可証の取得が免除されるケースは全部で20のカテゴリーに分類されていますが、一般に該当することが多いものは次のとおりです。

・出資額が30億VND以上の有限責任会社の出資者または所有者
・出資額が30億VND以上の株式会社の取締役または取締役会会長
・駐在員事務所の所長、プロジェクトの代表者
・販売促進活動のためにベトナムに滞在する期間が3カ月未満の場合
・企業の生産または営業活動に影響する可能性が生じ、ベトナムですでに就労している外国人労働者およびベトナム人労働者では解決できない技術的な問題に対処する目的でベトナムに3カ月未満滞在する場合
・ベトナム人の配偶者
・専門家、管理者、業務執行者、または技術者としてベトナムで就業し、毎年1月1日から12月31日までの1年間の勤務期間が合計90日未満の場合

なお、労働許可証の取得が免除される場合であっても、何も手続きをする必要がないわけではありません。該当するカテゴリーによって、一定の期間内に取得免除に該当することの承認を受ける手続きが必要であったり、所轄官庁への通知・確認手続きを行わなければならないので注意が必要です。

取材協力・記事監修
KAGAYAKI TNY LEGAL(VIETNAM)Co., Ltd.
Unit 1109A, 11F., Saigon Trade Center, 37 Ton Duc Thang St., Sai Gon Ward, HCMC(MAP
(VN)028-7307-3768
(JP)050-3085-1678
日本弁護士/ベトナム外国弁護士 矢根俊治
info@kt-vietnam.com
www.kt-vietnam.com

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