毎年卒業シーズンになると、ベトナムの学生たちは、卒業式に身につけるアカデミックガウンをアレンジして、特別な日の特別な舞台で自身の個性やベトナムの伝統文化を強調することを目指す。今年はアカデミックガウンに古代ベトナムの民族衣装の一部「ヴァンキエン(Vân kiên)」を合わせる学生が多数登場しSNSで話題となっている。
ヴァンキエンは、マントのように肩の汚れを防ぐための役割を果たすだけでなく、付け襟のように華やかさをプラスする装飾品としても用いられていた。黎朝時代の美術品に見られ、阮朝初期には貴族階級が使用していた他、当時の舞踊や演劇の衣装にも広く使用されていた。現在では一部のベトナム伝統衣装専門店が、現代的なファッションのアクセントとしてデザインされたヴァンキエンを販売している。
学生たちが選ぶヴァンキエンの多くは、阮朝時代の伝統的なデザインをもとに、アカデミックガウンや現代人の好みに合うようにアレンジされたもの。スタイル、模様、色、いずれも選択肢は非常に幅広い。価格はデザインによって異なるが、相場は40万〜70万VNDと少々高め。しかし卒業式という大切なシーンで身につける衣装とあり、Z世代も親世代も惜しみなく購入しているようだ。ヴァンキエンは「áo tấc」や「chẽn」などと組み合わせることができ、別の機会に再度利用できる点も魅力だ。ファッションを楽しむだけでなく、伝統を重んじる学生たちの姿勢には、教員や保護者も称賛を浴びせている。
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