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高級クラブ「倶楽部舜」の千香子ママが語る、水商売の魅力|ベトナム・ホーチミン市

艶やかな着物をぱりっと着こなした日本人ホステスさんとピアノの生演奏に迎えられると、ホーチミン市にいることを一瞬にして忘れてしまう。4月中旬、レタントンにオープンした高級クラブ「倶楽部舜」。噂は耳にしているが、漂う高級感に、敷居の高さを感じている方も多いのではないだろうか。しかし百聞は一見にしかず。その良さは実際に足を運んだ人のみぞ知る。「倶楽部舜」予備知識として、千香子ママのお人柄をご紹介する。

沖縄と似ていると感じるベトナム人の心。ベトナムから学ぶおもてなしも。

Vetter:ベトナム出店のきっかけは?

千香子ママ:3年前に息子の誘いでホーチミン市に旅行で来て、レタントン周辺で呑み歩いていた時に、息子にひとこと「ここでお店をやってみては」と言われたのがきっかけです。沖縄には「いちゃりばちょーでー(行逢りば、兄弟)」という沖縄人の精神を表すような言葉があります。「一度会えば兄弟」つまり「人類皆兄弟」「一期一会」と同じような意味の言葉です。ベトナムの人たちの人を大切に思う心が沖縄のそれと似ているなと感じ、ここでならばいいお店ができるんじゃないかなと思いやってきました。

うちの高良マネージャーが、新型コロナウイルスで大変な状況にも関わらず一年前にホーチミン市入りして色々準備してくれて。思い立ってから3年、やっとオープンに至りました。「一年間何していたの?」って聞いたら「ゴルフに麻雀」って言っていましたけど(笑)開店の際に皆さんに集まっていただけたのは人脈を作ってくれた彼女のおかげです。

Vetter:どんなお店にしたいと考えていますか?


千香子ママ:沖縄で36年の歴史のあるお店「舜」の2代目として、18年「舜」を守ってきました。その良さをそのままベトナムに持ってきたいです。社会で戦う方々にとってこういう場って大切だと思うんですね。皆さんのストレスを癒す場として、日本とベトナムの架け橋となる社交の場として、また大切なご商談の場として、少しでもお力になれればと思っています。沖縄、名古屋、仙台から来てくれたベテランホステスの子たちが、接客、所作、マナー、お客様のお話を聞く姿勢の大切さなどをベトナムの女の子たちに教えています。全員20代なんですが、守ってあげたいくらいかわいい(笑)英語が話せる優秀な子もいるので、日本人のお客様だけでなく、他の国の方にも来ていただけたら嬉しいです。

水商売を始めて今年で28年目になります。日本のおもてなしをベトナムの女の子にも伝えたいと思ってきたんですけど、いざ来てみたら私が教えてもらうことの方が多くて。修行に来たような気持ちにもなります。もちろんやるからには成功させたいのですが、心を豊かにする新しいチャレンジの機会と思って、少し肩の力を抜いて楽しみたいです。

人の人生の中に自分を残して生きてきた母の凄さを知った瞬間でした

Vetter:28年続けられた水商売の魅力は何ですか?

千香子ママ:人ですね。これまでたくさんの方々に支えられてきました。水商売って女性には理解されにくいお仕事ですよね。母が水商売をしていたのですが、私も幼い頃から母の仕事が好きではなく、水商売なんて絶対やるものか!と思っていた時期もありました。

でも27歳で離婚して、子供が4人いて借金もあり、生活のために以前母が営んでいたお店で仕事を始めました。ある日1人のお客様が「ここオーナー代わってるよね?」と店の様子を伺いにいらっしゃいました。以前は私の母が切り盛りしていたことをお伝えすると、そのお客様はビールを何杯か召し上がったところで、ご退職され現役時代に手掛けられた海洋博覧会の跡地を見にいらっしゃったこと、近くに当時と同じ看板の店をみつけたことが何よりも嬉しかったことなど、お話ししてくださいました。
「何十年も前のことで、ママは覚えていないよ」とおっしゃるその方を、近くで母が営む焼き鳥屋へご案内し、扉を開けた時、当たり前のように母が発した言葉「いらっしゃい、橋本さん」、同時に弾けた橋本さんの笑顔に、鳥肌が立ちました。人の人生の中に自分を残して生きてきた母の凄さ。誰もが認められる場所、居場所を作れる水商売という仕事の素晴らしさを知った瞬間でした。

28年続けてきて(思い返すと涙が出てしまうような)エピソードはたくさんあります。(店での経験を通して)親や家族を大事にする気持ちも深まりました。この仕事は人と人をつなげる素敵なお仕事なんだということを、女の子たちに伝えていきたいです。

来てくださったらその意味がわかるかと思います

Vetter:仕事以外にベトナムで挑戦したいことは?

千香子ママ:子供4人全員男の子なんですけど、水商売の仕事って男の子にはあまり見せられないじゃないですか。だから借金を返済した後に保育園を始めたんです。そうしたら「お母さんは保育園で働いている」ってわかるじゃないですか(笑)沖縄では保育園の他に子ども食堂もやっているので、ベトナムでもみんなと一緒にそういうことができたらいいなと思っています。

Vetter:男の子を4人も育て上げられたら、何でもお見通しですか?

千香子ママ:それができたらいいんですけど、できないんですよ!できていたら…もう一回結婚してるかな(笑)自分では良かれと思って行動していても、それが間違っている時、子供たちってなんらかのサインを出して教えてくれるんですよね。そのサインに気付かなかったら子供の様子がおかしくなる。自分がきちんとした生活をしていたら子供も穏やかになる。お店も一緒で、見逃してはならないお客様のサインがあるし、いい接客ができていなければお客様は遠のいていく。自分の行動が鏡のように返ってくることは、息子たちから学びました。

Vetter:「高級クラブ」として、他店との違いは何ですか?

千香子ママ:お店でお客様が感じてくださることが答えではないかと思っています。来てくださったらその意味がわかるかと思います。「行ってよかった」というのはお客様にしか感じていただけないことなので、私が言葉にすることは難しいです。

今はどう見られたい、どう見せたいとか、あまり考えてはなく、基本がきちんとできる「舜」でありたいと考えています。この街に、きちっと当たり前のことを当たり前にしていける日本のお店が来たな、と思っていただければ嬉しいです。

女の子は人の痛みがわかり、相手を想う気持ちとやる気のある子を集めています。もちろん教養も大事ですが、それは3番目、4番目でいいと思っていて。素直な心が1番です。お客様からいただく分はしっかり従業員のみんなに還元し、いい雰囲気のお店にしたいし、このお仕事の良さを理解してもらいたいので。それでクオリティの高い人材が集まれば、お客様にも喜んでいただけてさらにいいお店にもなるので。

今までやってきたことをブレずにきちんとやっていくつもりです。志がきちんとしていればブレることなく動くことができる。「一期一会」一生に一度の出逢いを大切に、今自分ができることをし、感謝できる人でいる。同じ志を持つ子が集まってくれれば大きな力、そして未来へとつながると信じています。

サービス概要
・日本人はママの他、マネージャー1名とホステス3名。ベトナム人ホステスは10名在籍。
・ママと日本人のホステス2名は着物、ベトナム人スタッフはアオザイ又はドレス
・会員制度/紹介制度なしで一見さんもOK
・ボトルキープ期限なし
・近隣のお店から出前可
・同伴チャージあり
・チャージ料にボトル代+サービ料+消費税

店舗情報

店名 倶楽部舜
住所 26/4 Le Thanh Ton St., Dist.1, HCMC
予約電話 +84-(0)347-400-319(日本語)
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