旧暦の7月はベトナムでは「鬼月」と呼ばれ、ご先祖様や故人の霊と一緒に鬼が現世を訪れる特別な月とされている。鬼月の中心となる旧暦の7月15日は「ブラン祭」と呼ばれ、日本のお盆同様、ご先祖様や故人への追悼と感謝の意を示す大切な行事となっている。
旧暦の7月初旬から、ホーチミン市の各寺院ではブラン祭に向け様々な活動や式典が行われてきた。一般の人々は、現世で生きている人を象徴するピンクの花と、故人を追悼する白い花を胸につけ、寺院に参拝し平和を祈る。ハノイでは、仏様ではなく満月を拝む簡略的な作法を選ぶ家庭が増えている。紙でできた生活用品をご先祖様のために燃やす習慣は薄れ、果物などのお供物を用意し、お香や花を燃やしながら人々は自然の美しさに感謝する。お供物となる果物や生鮮食品は一様に値上がりし、生花の価格は通常の2~3倍に高騰する。ベジタリアンフード専門店もこの日はいつも以上に賑わう。
ホーチミン市などの南部の地域には、鬼が悪さをしないよう供養のために現金を撒く習慣がある。チョロン地区の華僑の人々を中心に、ホーチミン市内の多くの一般家庭や商店がたくさんのお供物を用意する。供養を終えた後の供物は燃やすか配るのがしきたりであり、供物と撒かれる現金を目当てに人々が集まるのも慣例の一部となっている。
商売を営む人々はブラン祭に道端で絵馬を燃やす。行き場をなくしてさまよう魂を助ける儀式と信じられており、さまよう魂によって商売が邪魔されないよう行われている。
編集ライターB?o
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