ベトナムへの渡航制限が、新型コロナによる感染騒動前に戻っている状況の中で、日本からベトナムへの進出も増えています。その中で、ベトナムでの現地法人(若しくは現地拠点)を設立したり、各種許認可・ライセンスを取得したりするニーズも多くなっています。そういった行政的な手続を実施するために、投資家・事業者がご自身で行うことが難しく、法律事務所やコンサルティング会社に依頼するケースが多いです。では、ベトナムでの法律事務所とコンサルティング会社は、どう違うのか、行政的な手続だからコンサルティング会社にお願いすべきか、本日のインタビューで確認しましょう。
日越の渡航制限がだいぶ緩和されましたので、日本からベトナムへの進出も新型コロナによる感染症が蔓延する前の状況に戻っていると感じていますが、いかがでしょうか。
確かに本格的にビジネスや事業を開始したいというご相談が最近増えていきます。行政的な手続に関するご相談なら、新規投資家・事業者である場合は、ベトナムの現地法人や駐在員事務所の設立で、既存の日系企業である場合は、事業の追加やライセンスの取得に関連するものが比較的多いです。
なるほど、会社設立等といった行政的な手続でも法律事務所に相談することが多いですね。ただし、そういった手続であれば、コンサルティング会社の方が安いし、早いとよく聞きますが、実際にはどうなんですか?
なかなか比較するのが難しいですね。ただ、行政的な手続については、法律事務所だけではなく、1つの選択として、コンサルティング会社にお願いするケースも少なくないです。
そうなんですね。ところで、最近では、日本の行政書士の資格などを有していないコンサルティング会社は、行政的な手続の代行を行うことができないという指摘があります。これに関してはどうですか?
確かに、ベトナムのコンサルティング会社は、日本の行政書士の資格を有していないことがほとんどです。そもそもベトナムでは、行政書士の資格がなく、法律に関する業務だと弁護士しか実施することができません。ベトナム弁護士法(2006年)の22条5項には弁護士の活動範囲を規定しており、その内「本法に規定するその他の法律に関するサービスを実施する」と定めています。「本法に規定するその他の法律に関するサービス」は、同法の30条で「弁護士のその他の法律に関するサービスは、行政的な手続に関連する業務、異議申し立ての解決、翻訳、各種書類の精査等を含む」と規定しています。
一方、コンサルティング会社については、その会社がすでに登録する事業の内容により、事業範囲(活動)が異なりますが、一般的にマネジメントコンサルティング事業(VSIC7020)を登録する会社が多いです。マネジメントコンサルティング事業だと、企業のマネジメントに関する支援、事業計画の立案、ファイナンスや人事に関する計画の支援等を含みます。
また、コンサルティング会社には、弁護士がいても法律事務所として事業を登録しない限り、弁護士業務を提供することができません。
つまり、コンサルティング会社が弁護士業務を実施すること自体は違法ですか。
厳密には、コンサルティング会社は、法律事務所ではないので、弁護士業務の一つとして行政手続の支援を行うことができないと考えられます。
しかし、実際は、国家管理機関からの指摘もありませんし、また結果的にコンサルティング会社でも各種許認可・ライセンスを取得することができますので、コンサルティング会社にお願いすることは、現状において大きな支障がないと考えられます。
しかし、実際は、国家管理機関からの指摘もありませんし、また結果的にコンサルティング会社でも各種許認可・ライセンスを取得することができますので、コンサルティング会社にお願いすることは、現状において大きな支障がないと考えられます。
ただ、潜在的なリスクがないかと言えば、なかなか否定することができないと考えられます。一番想像しやすい例でいえば、ベトナム人は単純な風邪をひく場合(行政的な手続)は、必ず病院かお医者さん(法律事務所)に行くわけではないです。その場合、代わりに薬屋(コンサルティング会社)に行って、薬剤師にお願いすることになります(ベトナムでは、医者の指示がなくても、薬剤師の判断で病気を診てもらって、薬を購入することができます)。結果としては、費用や時間をあまりかけずに風邪を治すことができる可能性が高いです。しかし、飲んだ薬の副作用があるかどうか、体全体に影響があるかどうかは、だれでも保証することができません。
子会社設立で言えば、会社設立の結果として、?単純な会社ができると、?運営上に支障なく円滑に活動することができる会社ができるという二つのものを想定することができます。我々法律事務所が目指すのは、後者の?になります。そのため、単純に会社を設立するだけではなく、その前の事業計画や会社の定款作成、ガバナンス支援等を含めて、会社が設立できた後のうまく運営できるように一括で支援しています。
そうですね。よく理解できました。ありがとうございます。
ベトナム明倫国際法律事務所
今回の執筆者
ホーチミン事務所代表弁護士
盛 一也(もり かずや)
k-mori@meilin-law.jp
・京都大学総合人間学部 卒業、中央大学法科大学院 卒業、2015年12月弁護士登録、2016年1月税理士法人山田&パートナーズ入所、2018年11月弁護士法人Y&P法律事務所転籍、2020年1月明倫国際法律事務所入所。座右の銘は、兵は神速を尊ぶであり、常に迅速な役務提供を実践。専門分野は、国際関係取引/スタートアップ法務/各種契約書・規定整備/人事労務対応/商標等知的財産戦略。使用言語は、日本語、英語。趣味は筋トレとサウナ。
ベトナム明倫国際法律事務所とは
ベトナム明倫国際法律事務所は、日本語が堪能なベトナム人弁護士・スタッフ、及び日本人弁護士・スタッフのチーム対応により、法務からビジネス慣習、ベトナム子会社の組織作りやコンプライアンス体制構築など、幅広い業務に、迅速かつ専門的に対応しております。
ベトナムにおける日本人及びベトナム人コミュニティの広範なネットワークと、ビジネス法務のエキスパートの豊富な経験・知識・ノウハウを生かし、ベトナムビジネスについてのビジネススキームや経営戦略作りに至るまで、頼れるビジネスパートナーとして、皆様のベトナムでのご成功をお手伝いします。ぜひ一度、当事務所のビジネスブリーフィングサービスやご相談サービスを、ご利用下さい。
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