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【ベトナムのシン層 | Vol.12】民族舞踊のソエ・タイ・ダンス ユネスコの無形文化遺産に認定

本記事は、ベトナムやベトナム人に起こる出来事を多彩に切り取り、解説するコーナーです。

12月15日にフランス・パリでユネスコの無形文化遺産保護委員会が開かれ、ベトナムの民族舞踊である「ソエ・タイ・ダンス」が無形文化遺産に新たに認定された。ベトナムの無形文化遺産はこれで14番目となり、多彩で豊かな民族文化の実情が国際社会に認められたことであり、ベトナム国内でも喜びの報道が相次いだ。

「ソエ・タイ」はベトナム北西部イエンバイン省、ライチャウ省、ディエンビエン省などに住む少数民族タイ族の民族舞踊(フォークダンス)で家の新築祝いや結婚式、米の収穫時など地域の祭事に欠かせない踊りとされ、タイ族コミュニティーにとって健康や調和を祝う重要な「民族のアイデンティティ」の象徴ともされている。

いくつかのバージョンがあるが、基本的にタイ族女性が長いスカーフを首にかけ両端を左右の手で持ちながら踊る「ソエ・ハン」、円錐形の帽子を被って踊る「ソエ・ニョン」、花を手にして踊る「ソエ・ホア」などが代表的といわれている。女性の踊り手は弦楽器リュート、トランペット、ドラム、ゴングなどの演奏に合わせて円を描いたりしながら手を上下したり、開いたり、お互いの手を握ったりして優雅にそしてリズミカルに舞う。

ベトナムではこれまでに無形文化遺産に認定された伝統芸能としては、「フエの王宮雅楽、ニューニャック」「ハノイなどの伝統音楽芸能、カーチュー」「フードン廟、ソック廟でのゾン祭り」「紅河デルタ地帯などのベトナム綱引きとその儀礼」「北中部クアンビン省、中部ダナン省などの民族遊び、バイチョイ」「北部フート省の雄王信仰、フンヴゥオン」「南部地方の伝統民謡弾歌、タイトゥ」など13件が認定されている。

今回の「ソエ・タイ」の認定に関してベトナム文化遺産協会のド・バン・チュ会長は「多くの国がユネスコに認定申請をする中でソエ・タイが認定されたことは大きな価値がある。ベトナムの豊かで多様な文化の一翼を担うのがソエ・タイであり、今後も無形文化遺産として保存、発展、PRに努力する必要がある」と述べた。

ベトナムはフエ、ホイアン、ミーソン、チェンアンなどの文化遺産、ハロン湾、フォンニャ・ケバン国立公園などの自然遺産と世界遺産も多く、多彩で重層的な歴史や文化に恵まれた国でもあり、その魅力は尽きない。

執筆者:大塚智彦(フリーランス)
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞ジャカルタ支局長などを経て2016年からフリーに。月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などに東洋アジア情勢を執筆。

写真:vnexpress.net
※本コラムは、筆者の個人的見解を示すものであり、週刊ベッターの公式見解を反映しているものではありません。

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