スティーヴン・ホーキング、レナード・ムロディナウ『ホーキング、宇宙と人間を語る』佐藤勝彦訳(エクスナレッジ、2011年)

宇宙はいかにして創生されたのだろうか。
アインシュタインが1915年に「一般相対性理論」を定式化したとき、宇宙を膨張や収縮をしない「静的」なものと捉えていた。だが、1929年に物理学者ハッブルは、宇宙が膨張している観測結果を発表。1947年には、ジョージ・ガモフによって「ビッグバン説」が提唱された。
宇宙は膨張しており、その膨張を過去に遡っていくと、一点に集中している。さらに、宇宙は一様ではなく密度の違う「ゆらぎ」があることも実証され、宇宙の年齢は137億年と明らかになった。それと同時に、光やX線も出さないダークマター(暗黒物質)やダークエナジー(暗黒エネルギー)があることも判明した。
ここでの大きな問題は、ビッグバンが起こる以前、宇宙はいかなる状態であったのか。宇宙が「無」であったならば、宇宙誕生の瞬間に膨大なエネルギーと物質が突然湧き出たことになる。無から一瞬で形を成すなど現実には起こりえない人智を超えた現象である。聖書の『創世記』で「神は光あれ」と記されているように、宇宙の誕生は「神の手」によるものなのか。
ところが、ホーキングは神の介入を否定し、宇宙は無からでも生成されうるもので、物理法則に従って証明できると主張する。科学が発展するにつれ、神の存在は不要になるのかもしれない。宇宙論をめぐって「神」と「科学」の対決が繰り広げられている。

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