菅野完『日本会議の研究』(扶桑社新書・2016年)

今年の話題作は『日本会議の研究』で決まりでしょう。
「日本会議」とは、民間の保守団体で「全国に草の根ネットワークを持つ国民運動団体」である。「日本会議」には多くの宗教団体や政財界の人々が加盟し、日本の各地に支部を作っている。
「日本会議」は、「誇りある国づくり」のために「元号法・国旗国歌法の制定運動」「教育基本法の改正運動」「自衛隊海外派遣法支援活動」「憲法改正運動」などを行ってきた。
「日本会議」に群れる保守派たちは、GHQの押しつけ憲法に苛立ち、「日本の主権回復」という大義に酔いしれる。戦後レジームからの脱却を目指す安倍政権と相まって、改憲勢力の一翼を担う「日本会議」に大きな注目が集まった。
「日本会議」が実施してきた活動は、地道で民主的なものだ。しかし、彼らが目指している日本の姿は、私たちを幸せにするのだろうか。著者の菅野氏が述べるように、「民主的な市民運動が日本の民主主義を殺す」という言葉が印象に残る。「情念」に駆られた政治運動は、えたいの知れない「空気」に流され、盲目的になってしまう。ここに日本の危機の本質がある。
もちろん、『日本会議の研究』の記述に関して、細かな間違いや煩雑な箇所もある。だからといって、それらが本書の意義を低下させるものではない。「日本会議」というテーマをとりあげ、不十分ながらも調査して、果敢に世に問うたことに意義があるのだ。

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