【熱狂半島】Linh Dung氏/コンカフェ創業者、ベトナム国内外で52店舗まで展開した秘訣

ベトナム国内を席巻中!『コンカフェ』創業者に訊く

『コンカフェ』創業者のLinh Dung(リン・ズン)さん。『週刊ベッター』創刊時の8年前はハノイに1店舗あるのみだったのですが、当時から独特の世界観を表したレトロな店内や斬新な趣向がひときわ異彩を放っていました。共産主義のプロパガンダのイメージをファッション感覚に昇華させ、おしゃれなものに変えてしまうセンス。それがベトナム人たち、特に多くの若者に支持され、現在の店舗数は52軒。ベトナムを代表するカフェへと成長し、今も躍進を続けています。

創業者は30代女性。週刊ベッター94号(2012年)の『美人百花』のコーナーに登場していただいた過去があり、その縁もあって今回のインタビューに至りました。基本的にメディア取材は辞退しているとのことでしたが、顔出しNGを条件に承諾してもらいました。
(本当に美人な方で週刊Vetter94号をお持ちの方はぜひ見ていただきたいくらいです)

ビジネスには興味がなかったのですが……

ベッター編集部
まずはお忙しいところ時間を割いてくださりありがとうございます。
ズンさん
よろしくお願いします。ただし顔出しはNGでお願いします(笑)。店の取材は大歓迎ですが、通常、私個人への取材案件は断っています。今回は特別です。8年ぶりの『ベッター』の依頼ですから。
ベッター編集部
わかりました。でも残念です。ズンさんはおきれいですし、『コンカフェ』のセンスと同様におしゃれ(当日は、ふわりとした黒ロングスカートにオフホワイトのブラウス、デザイン性に富んだ黒革ショートブーツ)ですね。絵に描いたようなクールビューティーですね。一見するとファッションデザイナーみたいです。
ズンさん
ありがとう。でも褒めてもらっても写真はダメですよ(笑)
ベッター編集部
はい。承知しました。では早速ですが、まず最初に『コンカフェ』の歴史を教えてください。
ズンさん
11年前、2007年にハノイのハイバーチュン区チュー・ヴィエット・ヴォン(Trieu Viet Vuong)通り152D番に1号店を開店させました。そして5年後の2012年にハノイのディエン・ヴィエン・フー(Dien Vien Phu)通りに2号店、2014年に10店舗になって、その後は一気に増えました。そして現在は全部で52店舗、韓国にも出店しています。

かつてハノイの152D Trieu Viet Vuong通りにあった創業店舗。

ベッター編集部
ここ数年間はすごいスピード出店ですね。
ズンさん
おかげさまで、ここ2、3年は忙しかったですね。だけどもともと私自身はビジネスや経営に関して強いわけではありません。コーヒーのマーケットに関する理解と、店舗も含めさまざまなデザインが好きというだけです。今は何でも自分にとってのチャレンジだと思いつつ楽しみながらやっています。
ベッター編集部
そもそもなぜカフェを始めようと思ったのですか?
ズンさん
おいしいコーヒーを出すお店はあったけど、きれいでおしゃれなカフェがないと思っていました。だけど自分から積極的に出店したいと思ったわけではありません。
ベッター編集部
では何が出店を決意させたのですか?
ズンさん
趣味の延長で自宅の内装をカフェ風にしました。インテリア、小物類、食器など自分のお気に入りのものを集めました。あくまで自己満足の世界です。ところが友だちから「これは実際にカフェを開いた方がいい」と勧められて、最終的に店を出すに至りました。
ベッター編集部
友だちに先見の明があったのですね。自分でも成功する自信はあったのですか?
ズンさん
全然ありません。実際に何度も断りました。そもそもビジネスに興味なかったですし……。
ベッター編集部
最後は友だちのしつこさに負けて開業したということですか?
ズンさん
はい。のせられているうちにだんだんその気になって、最後はじゃあやってみるかって(笑)

モスグリーンは子どもの頃の遠い記憶

ベッター編集部
実際に経営者になってみていかかですか?
ズンさん
いざ始めてみると、想像以上に面白くて興奮しました。もちろん大変なことは多々あります。品質管理、新メニューの開発やサービス、デザインなど、考えることがたくさんあって、そして何より高品質の追求をし続けなければなりません。
ベッター編集部
それはある意味、激化するカフェ市場を生き残るうえでの宿命ですよね。
ズンさん
そうですね。『コンカフェ』のみならず、ベトナムにはさまざまなコーヒーショップが増えています。競合することになるのですが、それは歓迎すべきことです。カフェ市場が広がることは、生活や文化として根付くことにもつながります。材料の安全性をふまえた品質の向上やサービス、多くのカフェが切磋琢磨しながらクオリティーを追求する。それが全体の底上げにつながります。

創業店舗の店内。ここからコンカフェの歴史が始まった。

ベッター編集部
『コンカフェ』が増え始めた2012年から5、6年の間にベトナムは目覚ましい発展を遂げました。カフェの増加と関係するかわかりませんが、それに伴いこころなしか出会うベトナム人たちに笑顔が増え、人々が親切になった気がするのですが……?
ズンさん
それはきっと『コンカフェ』のおかげですね。ごめんなさい。冗談です(笑)。いくつか理由はあるでしょうが、インターネットの発達が大きいと思います。2011年頃から比較的自由に海外の情報が得られるようになりました。閉鎖的だった若者が多種多様な情報を得ることで以前よりオープンな考えを持てるようになったからでしょう。
ベッター編集部
情報を得ることで夢や目標ができた。目指す方向が見えると不安が解消され、人々が明るくなる。確かにそういった側面はありますね。さて経営に関することから話は変わりますが、『コンカフェ』の特徴といってもいい、外観や内装、インテリアなどノスタルジーにも通じるあの独特のコンセプトはどこから生まれたのですか?
ズンさん
子どもの頃の自宅は、多くの軍隊に囲まれたエリアにありました。周辺に公安や軍隊の人がよく歩いていて、緑色の軍服を着た兵士の姿を毎日見かけていました。漠然とした配給時代のイメージですが、私の原風景かも知れません。そんな景色がある日パッと浮かびました。ハノイのカフェ通りと呼ばれているチュー・ヴィエット・ヴォン(Trieu Viet Vuong)通りで外を眺めていたときにすべてが目の前に広がったんです。その瞬間に「これだっ!」と思いました。そしてさっきお話しましたが、自宅にそのイメージを再現してみたのが始まりです。
ベッター編集部
約30年前のベトナムが『コンカフェ』のイメージの根っこにあるんですね。鮮やかな色彩感覚というよりも『コンカフェ』のテーマカラーともいえるモスグリーンの感じ。それが現代では逆にスタイリッシュで新鮮な気がします。
ズンさん
モスグリーンは私の子どもの頃の記憶に刻まれている最も印象的な色です。だから『コンカフェ』のカラーに採用しました。
ベッター編集部
色の他にも多くのレトロな要素が感じられるのですが、いかがでしょうか?
ズンさん
もちろん壁の色だけではなく、私の過去の記憶のさまざまなものを取り入れています。例えば、暖色の明かりの古いランプや木製の机や椅子、木製の窓枠やドアのフレームもそうです。それらは特別なものではなく、私が子どもの頃は誰もが使っていた一般的なごく普通のものです。

全店舗ではないものの、Tシャツやジャケット、食器類や小物などが売られている。日本へのお土産にもいいかも・・・。

ベッター編集部
古物や手作り品は不思議と人を落ち着かせる。『コンカフェ』の居心地のよさの理由がわかった気がします。

<次ページ>創業者ズンさんの両親の教育方針とは?


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